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カーボンニュートラルに向けて(2022-1-5)

2050年にカーボンニュートラルを達成するということが世界の目標となっている。環境省、経済産業省のホームページには、国としての政策や関連情報が公開されており、具体的に何をしたらよいかということも示されていて、政府の方針が確認できる。

しかし、その全貌をわかりやすく解説した本がないものかと書店で眺めて見つけたのが、堅達京子+NHK取材班著『脱炭素革命への挑戦』。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、NHKスペシャルなどの番組を担当してきた著者が、取材内容をまとめたものといえる。感想としてAmazonにある2件の書評をそのまま引用することにしよう。

「これまで脱炭素に関する本は色々読んできたが、これほど中身の濃い本は他にない。圧倒的な情報量だ。NHKスペシャルのプロデューサーでもある著者が、長年にわたって気候変動や再生エネ、環境問題などの取材を真摯に続けてきたことが非常によく伝わる渾身の一冊。この本を読んでおけば、脱炭素に関する最新情報を体系的に理解できる。しかも、誰が読んでも分かりやすい平易な文章で書かれていて、読みやすい。あっという間に読破してしまった。しばらくはこの本が脱炭素のバイブルとなりそうだ!」

「脱炭素やサスティナビリティ、生物多様性など世界共通の課題について、世界の取り組みと日本の現状を豊富な取材から非常にわかりやすく知ることができます。今すぐ変わらないと間に合わないという、筆者の危機感が伝わり、自らもすぐに行動したくなりました。環境問題に興味がある方はもちろんのこと、一人でも多くの人に読んでほしいと思う素晴らしい内容でした。」

 地球温暖化が課題として広く取り上げられるようになったのは、1997年の京都議定書が締結されてからなのだろう。インターネットが普及しはじめたころである。その年に生まれた子供は今年25歳になる。2005年にはクールビズという言葉が生まれ、冷房のための電力を節約することが求められた。また、2011年からは温暖化防止に有効とされた原子力エネルギーに対しても否定的な動きが出てきていることは周知のとおりである。

感受性の強い20歳までにそのような時代の流れを経験している世代と、その前の世代では感覚が違っているのではないか。それはインターネットに対する感覚と重なるようにも思われる。

若い世代は脱炭素の視点から、その感覚を上の世代に伝えるようにしてほしい。地球温暖化をもたらしたライフスタイルを批判的に見ていくことが、待ったなしのカーボンニュートラル実現に向けて必要だろうし、そうでないと、関連する新しい規制などの世の中の動きに不安を感じることになるかもしれない。

 

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9日に日中韓サミット東京で開催(2018-5-4)

連休明けの5月9日に安倍総理の主催により、中国から李克強国務院総理、韓国からは文在寅(ムン・ジェイン)大統領が来日して日中韓サミットが開催されることを外務省が1日に発表している。http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005966.html

国内メディアはこれに沈黙しているようで、NHKのホームページで閲覧できるニュース一覧にもない。
読売が2日に”日中韓「北の非核化」要求…共同宣言で明記へ”と、複数の関係者への取材による報道をしているが紙面での扱いは見ていない。この読売の記事について、韓国メディアは事実ではないと否定している。朝日のネットニュースには関連のものはない。総理大臣も外務大臣も出張中で記者会見がないためなのか。

7日には記者会見で何らかの発表があり、8日には李克強国務院総理が来日、そして9日がサミットとなる。文在寅大統領は9日の午前に東京に着いてその日の午後に帰国する。中国国務院総理の来日は7年ぶり、韓国大統領の訪日は6年半ぶりなので、それだけでも大きなニュースのように思えるのだが。

このニュースを知ったのは、2日の海外のネットメディアの北京の駐在記者の映像による報道。他のニュース中でもテロップで何度も流れていた。

韓国の大手メディア中央日報はこんなことも伝えている。
中国内部事情に詳しい消息筋は「中国の首相を今後も首脳として礼遇して現在の韓日中首脳会談体制を維持するかどうかについて3カ国が共に考えてみる必要がある。韓日からは首脳が出席するが、中国は首脳でなく首相を送るというのは妥当でない側面がある」と話した。

こうしたニュースよりスキャンダルを好むのが日本のメディアなのだろうか。

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明治座で歌謡浪曲(2018-3-21)

2月23日から3月29日まで「五木ひろし特別公演、坂本冬美特別出演」というタイトルによる演劇と歌謡ショーが行われている。会場は浜町にある明治座で、人形町から歩くと江戸情緒を感じさせる街並みの終点というところ。

調べてみると、五木ひろしの紅白歌合戦出場回数は1971年から連続で47回となり、現役歌手で最多。坂本冬美は1988年から29回と、これもトップクラスである。長期間にわたって多くの人の人気を保っているアーティストが二人そろって出演というのはよくあることなのかどうか。

公演は松竹新喜劇の演劇と歌謡ショーが休憩を挟んで2回。全体で4時間で途中30分の休憩が2回あるのでかなりの長丁場である。五木ひろしが3月で70歳を迎えたことを記念しての公演なのだろうが、その年齢は全く感じさせない。

この公演での目新しさは何よりも、2回目のステージ冒頭のふたり揃っての歌謡浪曲にあるはず。ステージには「めくり」が置かれ、「一本刀土俵入り」と寄席のスタイルで演目がかかれていた。
歌謡浪曲は浪曲出身の歌手三波春夫、村田英雄、二葉百合子といった人たちによるものらしいが、どちらかというと、過去のものという印象がある。

しかし、今回の歌謡浪曲は三味線を弾く曲師がついているので、これまでの歌謡浪曲以上に浪曲的なのではないか。曲師は今年81歳になった沢村豊子で、これまでユーロライブの渋谷らくごでの出演で何度か聞いたもの以上に三味線が乗っていた。

坂本冬美は二葉百合子の歌謡浪曲「岸壁の母」の継承者だそうなので、これからの浪曲人気の高まりにより、新たな展開に入ることが期待できる。渋谷らくごで開催されている、若手浪曲師玉川大福による「月刊大福マガジン」の公演が、4月15日(日)・5月12日(土)・6月9日(土)の夜8時から9時まであり、そこで浪曲界の新しい動きを垣間見るとよい。

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平昌オリンピック開会式の技術(2018-2-11)

2月9日に行われた平昌オリンピックの開会式。韓国・北朝鮮の接近と日本・アメリカの対応、あるいは、トンガの代表の上半身裸での行進がニュースになっているようではあるが、今回の開会式がオリンピック史上画期的ともいえる演出であったのではないかと注目している。

「映像の世紀」から「魔法の世紀」への転換を目に見える形にしていたからである。

「映像の時代に不可能だった物理的な干渉を起こし、容易に使え、精緻な結果をもたらす。それによる恩恵はまるで奇跡のように鮮やかであること。そしてその変化の速度はあまりに速く、その制御機構はあまりに難解なため、そこにある仕組みを理解するには難しく、一部の修練された人間にしか理解できないということ。日常にもたらされる奇跡とブラックボックス化の断絶が今後ますます、様々な社会変化をもたらすだろう。」(落合陽一『超AI時代の生存戦略』から)

この文章自体も難解ではあるが、この開会式の映像をビデオで見直すときの参考情報になりそうである。

光の波が重なりあって新しい波が生まれ、観客席全体に配置されたLEDパネルが揺れ動く。その動きとフィールドの光との連動。そして1218台の光るドローンがスタジアムから鳩の形で飛び立ち、五輪のマークを夜空に描くという、魔法としかいえないような演出。1218台ものドローンが絵を描きながらぶつかることなく空に舞う制御技術がどのようなものかを語れる人がどれだけいるものなのか。

ここで垣間見ることのできた技術は、これから日常生活の様々な場面に使われるようになるはず。「魔法の世紀」への突入を実感させるような開会式であった。

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亀井静香氏の記者会見(2017-11-15)

フリーのジャーナリストの団体である自由報道協会主催の亀井静香氏記者会見が、道玄坂のビルを会場として開催されたので参加した。冒頭に、民主党政権時代には国民新党の代表として金融担当大臣となり、記者会見を記者クラブから開放したという実績が主催者から紹介された。

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まず主催者から用意された質問に対する発言で10分。

「日本では言論の自由を駆使していない。権力による弾圧がなくても、大手メディアは見えざる手で自主規制させられている。個々の記者はそのことに気づいていても、迎合しなければ組織の中で生きていけないのであろう。本日の記者会見も、一般のメディアなら来なかった。そんなに暇ではない。

衆議院選挙についてはあたりまえの結果であった。自民党は何もしていない。野党がまとまらなかっただけである。自分の党だけが議席を増やせばよいという小さなエゴイズムである。共産党の志位委員長が一番政治家らしい。各野党はその期待に応えなかった。

政治がこんなに弱くなってよいのか。野党も対米自立の意識がない。アメリカの傘の下での与野党の闘いになっている。北朝鮮が暴発すれば、被害は日韓にあり、アメリカにはない。反米闘争がなくなった現実は由々しい。反米を言わずに政府を批判している。子分の安倍を批判しているようではだめ。」

続いて質疑応答。

1.トランプ大統領の訪問について
○反トランプデモがなかったのは日本だけ。横田基地で米兵相手の演説をし、それをNHKが放送するというのは嘆かわしい。

2.共産党に対する過剰アレルギーは何故
○政権を取る気持ちがないからである。

3.日本にCIAエージェントがいるのではないか
○日本中にいるのはあたりまえのこと。それをせずに国はなりたたず、やっていないのは日本だけ。表のことだけで国家は成り立たない。CIA的なものは必要で、情報をとり工作するのはあたりまえである。

4.小選挙区制の評価について
○変わりっこないことを議論してもはじまらない。制度はよくないと思うが。

5.マイナンバー制度による監視世界の怖さについて
○国家権力が国民の動向を把握したいのは本能ともいえる。それを国民の側がどこまで許すか。議会で決めるしかない。裏側から見ると、監視は国民を保護するという面もある。

6.天皇後継のあり方
○マッカーサーがイギリスの王室を見習うようにしたが、天皇は軍と財力で地位を得た外国の王室とは違う。天皇は世俗の権力の上にある権威である。退位は権力の行使である。天皇が自分の意思で就いたり引いたりするのは権力の行使である。天皇の地位をめぐって争いのないように伊藤博文が皇室典範を作った。天皇は神と人をつなぐ神主の親玉のようなものである。

7.暴れない若者をどう思うか
○世の中の矛盾を改めようとする力がなくなっている。極左が暴れまわっていた時代に日本は発展した。かつての学生運動は理論ではなく理不尽なことへの反発だった。昔は親のスネをかじる学生は少なかった。今は親によっかかった人間しか育たない。今のようでは日本の将来は暗い。

8.永田町にオカルト的なものがあるようだが。
○知らないけれど、オカルト的なものがあっても仕方ない。科学では証明できないことがある。生きているのは大きな力によっている。いいんじゃないか。

亀井静香さんは1936年11月1日生まれとあるから81歳になったところ。「この国に対する遺言は?」というメールでの質問に対して「まだ生きてます」という答えであった。

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選挙戦が始まった(2017-10-11)

10月22日の投票日までの選挙戦が始まった。
目黒区北部地区は東京5区から7区に区割りが変更になっている。立候補者は自民・松本文明、立憲民主・長妻昭、希望の党・荒木彰博の3名だけ。新たに7区になった目黒区、品川区についてはデータがないが、中野区と渋谷区での前回の衆議院選の得票数は次の通りであった。

長妻昭:104442票、松本文明:83476票で長妻氏が当選した(松本氏は比例で当選)。

これに対して昨年の参議院選での渋谷区と中野区の比例区での得票数は自民86508、民進52026で自民が大幅に上回る。参議院選での共産党の得票数は35832、公明党が22349で、今回の選挙では、共産支持者が長妻氏、公明支持者が松本氏に流れることになろう。

それに今回が初めてとなる希望の党。荒木氏は熊本県議からの落下傘候補なので評価は困難ながらも、中野区、渋谷区、目黒区とも都議会議員は都民ファーストが8人中4人で、自民はゼロで民進1人。これがどれだけ影響するかが得票数に響く。

気になるのは、民進党の東京選出参議院議員、蓮舫、小川敏夫の両氏の立場。希望の党と立憲民主党のいずれを選ぶのかは選挙後のことになるのだろうか。

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渋谷に小泉進次郎(2017-10-8)

自民党青年局街頭演説会が、渋谷駅前スクランブル交差点と109前スクランブル交差点の中間地点で行われた。午前11時から1時間の間に弁士は7~8人というところ。
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自民党のPRという内容なのだが、実質は渋谷を選挙区とする松本文明さん(写真中央)の応援。公示前なのためかその名前はない。駒場を含め、目黒区の山手通り沿いもその選挙区になった。
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小泉進次郎さんが最後のスピーカーで到着はその順番の直前。車が到着すると待っていた大勢の人たちと握手。いうまでもなく本人の選挙区ではない。
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野田聖子さんと2ショットは初めてとか。マイクを持った野田さんのとなりで手を振っているのが小泉さん。野田さんは郵政民営化選挙で小泉純一郎さんに刺客を立てられたことがあることに触れた。
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いつも混雑する渋谷なのだが、1時間たっぷり聞き入る人、メディア、警備関係者でごたがえしていた。これから2週間、この選挙区での候補者と応援者の演説を追っていきたい。
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高齢者を対象とする行政サービス(2017-4-19)

目黒区で65歳以上の高齢者人口は約20%。全国平均の25%と比べると少ないものの、平成47年度には26%になるとの推計がある。高齢者の区内に滞在している時間の長さ、行政サービスに依存する部分の多さを考慮すると、行政の役割の比重は更に大きくなる。

その高齢者に対するサービスを提供する部署として、目黒区には、介護保険課、高齢福祉課、地域ケア推進課がある。それぞれの担当業務を以下に書き出してみた。どういうサービスがあるかが分かるようになっているが、全体を理解している人は限られるだろう。こうして一覧できるようにしておくと便利かと思う。

介護保険課

●介護保険管理係
介護保険全般、事業者連絡会、事業者支援、介護保険システム、地域密着型サービス事業者の指定

●介護保険計画係
介護保険事業計画、基盤整備

●認定審査係
要介護認定事務の総括、介護認定審査会、主治医意見書

●認定調査係
要介護認定調査

●介護保険資格・保険料係
介護保険料の収納・還付等・徴収・納付相談・減免、資格、保険証、介護保険料の通知・口座振替・督促

●地域支援事業推進係
介護予防・日常生活支援総合事業の推進

高齢福祉課

●在宅事業係
ひとりぐらし等高齢者登録、電話訪問、緊急通報システム、紙おむつ、自立支援住宅改修等

●介護基盤整備係
高齢福祉の推進に関する企画・調整、地域密着型サービス等整備事業費の助成、特別養護老人ホームの整備

●施設事業係
短期入所生活介護(ショートステイ)、通所介護(デイサービス)、短期入院病床確保事業(病院ショートステイ)、高齢者センターの管理、緊急ショートステイ事業(有料老人ホーム利用)、
高齢者福祉住宅の運営管理

●相談支援係
保健福祉の相談支援、老人ホームの入所相談(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、都市型軽費老人ホーム)、高齢者虐待防止

●いきがい支援係
敬老事業、内職相談、老人いこいの家の管理、老人クラブへの支援、シニアいきいきポイント事業

地域ケア推進課

●地域ケア推進係
包括支援センターの取りまとめ、認知症対策(普及啓発等)、介護者支援、家族介護教室、見守りネットワーク(愛称「見守りめぐねっと」)、高齢者見守り訪問

●在宅療養推進係
在宅療養の推進

●保健係
認知症支援、訪問保健相談

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これからの貸会議室(2017-4-13)

貸会議室などの利用方法がインターネットの活用で変わってきているようだ。希望する場所にある会議室を探し、目的に合うスペースが見つかると、空いている日時に予約を入れる。クレジットカードで決済をすると、すぐに予約完了のメールが来て入口扉の電子錠の暗証番号を知れせてくれる。
当日はビル内にある会議室に直接行って会議室に入り、片付けをして鍵を閉めて出て行くという仕組みなのである。会議室を管理するスタッフと会うことはない。

これが目黒区の例えば住区センターの場合、事前に利用団体の申請・登録、予約、現金での代金の支払いで予約が完了。そして利用当日は住区センターの管理者が鍵を開ける。予約をインターネットでできるようになったことで利便性は向上しているものの、現金の管理を現場でしていることはこれからの課題だろう。区の税金もコンビニで納付できるようになっているのだから、住区センターなどで現金を扱う必要はなくせるはずなのである。

会議室に限らず、地域住民による自主的な活動ができる場を行政が提供することは必要であるが、それを行政の直営にするのか、指定管理者の管理で運用するか、あるいは民間施設利用への利用料補助の形で行うかは、検討課題であるだろう。

いずれにしても、既存の民間スペースの有効利用により、例えば、高齢者のデイサービス機能の一部を担えるようになることを期待したい。

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土人と自称した目黒の人(2017-4-7)

現在、土人という言葉は差別用語とされている。しかし、昔の文献を読んでいて、明治時代には土地の人という意味で使われていることを知っていた。明治44年に刊行された『東京名所図會』で、その土地の人のことを土人と記していることからだった。差別用語とされる土人という言葉は、東京の中心から少し離れた目黒区あたりの人に対しても明治時代には使われていたんだな、という認識であった。

ところがである。昭和10年に刊行された『目黒区大観』の序文の中に次の文を見つけた。
「私は慶應2年に目黒-その当時は上目黒村と呼んだ-に生まれた土人の一人であるが、その為めに他の誰よりも愛郷心が強いとは申さない」というものなのだ。土人の一人と自称する人は、議員、目黒町長を経験した目黒区大観刊行會の会長である。公的なものであるから、自分を卑下して土人と呼べるはずもない。

この時期、日本は海外に進出し、現地の人を土人と呼んでいた。他に適切な言葉がなかったからであろう。それからわずか20年後の昭和30年ごろには、土人ということばは未開地の人たち、特に黒人の人たちを呼ぶのに使っていたようである。そして差別語になったのはいつごろのことなのか。なぜ差別語とされるようになったかも含め興味深い。

言語学を勉強している学生なら、「土人」の使用例を調べ、差別語になるまでの経緯をまとめると論文になるだろう。

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