駒場キャンパスのシンボル・ゾーンを夢想する(2018-4-6)
駒場東大前駅東口から東大の正門に向かう右側で工事が行われている。6月に完成させる仮設体育館で、キャンパスの北側にある体育館の建て替え工事が2年後に完成の後、2020年4月には解体されるという計画という。
その後どうするかについては、工事の受託を狙う業者などがさまざまな計画を極秘裡に作成しているというものなのだろうか。
工事がはじまる前は、教養学部生の体育の授業でバレーボールに使われる場所であったが、その利用頻度からも、解体後にバレーコートにすることが適当とは考えがたい。
平成 26 年 3 月 27 日に定められた「東京大学キャンパス計画大綱」によると、駒場キャンパスは「地域との交流・連携を意識しつつ、社会に「開かれた大学」の理念を具現する教育・研究の場である」としたうえで「知の広がりと深まりを担う組織相互間の知的協働および社会との多様な交流・連携を通じて、前期課程教育の新たな展開と、多様な人材の育成、研究の深化及び知のネットワークの高度化を図る」としている。
さらに「国際社会を見据えた学問と社会との交流・連携を図るとともに、総合文化研究科の学際性を活かしつつ、数理科学研究科や隣接する駒場Ⅱキャンパスに配置された多様な研究組織との知的交流を通じて、独自性のある学問の展開する場を醸成する。これに対応し、市民教育、民間との共同研究、国際交流等の多様な情報発信の機構を設け、「開かれた大学」の理念を具現する空間を構築する」という。「開かれた大学」の理念を具現する空間がどんなものなのかが議論されていておかしくない。
本郷キャンパスには武田ホール、福武ホール、伊藤ホールといった民間の寄付による建物があり、そんなものが駒場にもあってよいのかもしれないが、「開かれた大学」を具現する空間は、壁のある建物にしないこともひとつの考え方だろう。
この4月1日には駒場キャンパス内に事務局を置く、東京大学地域未来社会連携研究機構が発足した。「地域の課題解決にかかわる部局が連携し、統合したプラットフォームを構築することで、研究・地域連携・人材育成等で相乗効果を発揮する」のが趣旨という。「開かれた大学」の理念を具現する場なのかもしれない。
仮設体育館の解体後は、そんな「開かれた大学」を見える化するということで、壁のない空間にできないだろうか。屋根も一部だけにして、博物館のように学術的な掲示を誰もが気軽に見ることができる場というアイディアである。駅の待合室のようなイメージと思えばよい。
そんなスペースなら、建築費も維持費も最小限度ですむ。維持管理にはボランティアを活用してもよいだろう。2020年7月のオリンピック・パラリンピックにも間に合う。
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