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2025年8月

原爆投下までの15年(2025-8-4)

毎年8月は、平和を祈念する月になっているようです。広島で、長崎で、そして戦没者を慰霊する場所で。いずれにしても戦争の犠牲になった人たちへの黙祷という形になります。でも、それが平和を祈念するものとはいえ、9月の天災による犠牲者への祈りとどう違うのか、ということはないでしょうか。死者への追悼ということにとどまっていてよいのかということです。被爆者、戦没者、戦争による多くの犠牲者の慰霊をして終わり、とはせず、そこに至るまでのさまざまな人たちの判断がどうであったかを知ることが、将来に向けて必要なことでしょう。現在、戦争ではなくとも、当時の判断の間違いと同様のことが行われてないのかどうかを考えることも意味あることです。

駒場公園・旧前田家本邸は、原爆が投下された15年前の1930年に完成し、1942年に当主の陸軍将校前田利為侯爵がボルネオに出役するまでの12年間、この駒場の邸宅でさまざまな立場の賓客を招いていました。そこでの会話の内容については知るよしもなく、この場で重要な判断が行われてはいないでしょうが、その12年間に行われた、さまざまな当事者による判断の積み重ねが、結果として原爆の投下を招いたことになるといってもよいでしょう。

前田利為侯爵については陸軍軍人として知られているわけではありません。戦争の中での歴史に残る判断をする立場にはなく、陸軍士官学校17期同期の東条英機とは犬猿の仲であったといわれています。軍人としての立場での発言権、影響力は強くはないものの、侯爵として皇族、華族や政・財界、駐日大使との交流があって、そこからでしょうか陸軍の戦略に対して異論を挟むことになり、結果として予備役編入となっています。

旧前田家本邸は、この規模での邸宅と庭園が、戦争当時の姿のまま残されていることで奇跡的ともいわれます。建造物としての価値だけではなく、平和について考える場、原爆投下にいたる判断の積み重ねの一端を考える糸口として評価されてもよさそうです。

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