駒場公園は目黒区立公園です。井の頭線の線路の北側になりますが、線路の南側にある駒場野公園と間違えてしまう訪問者も少なくないようです。目黒区の公園なのですが、正門は目黒区駒場にあるとはいえ、渋谷区上原に近い位置にあります。正門の最寄り駅は駒場東大前駅ではなく小田急線の東北沢駅ではないでしょうか。
この公園が目黒区立となったのは1975年です。1967年に公園になったときは東京都立公園でした。東京都が一定の面積に満たない公園は区立公園とするとして区に移管されたことにより目黒区立になりました。管理業務を区にしたほうが効率的だとの考えからでしょう。それに異を唱えることは難しかったろうと理解できます。
その時点での駒場公園は、目黒区の公園スペースとして与えられたもので、それを記念してなのでしょう、何本ものサクラの木が植えられました。
ところが、1991年に洋館が東京都有形文化財「旧前田侯爵邸洋館」に指定されます。2013年には日本近代文学館を除く、駒場公園の敷地内すべてが、重要文化財「旧前田家本邸」と指定されました。
それにより、2016年から2018年にかけて洋館の保存修理工事があり、そしてこらからの2025年度から和館・庭園等の修復整備について2029年度までの事業費が見積もられています。
重要文化財指定、さらには東京都名勝指定に伴う事業費の発生は、かけがえのない文化財そのものの保存のみならず、それに関連する技術の継承という視点からも必要なものと考えますが、目黒区としてどうかかわるかは議論があってよいでしょう。
2025年度から2029年度の5か年で総事業費867,889百万円、内目黒区の一般財源による負担は293,951百万円です。
では、目黒区立駒場公園が必要なものかどうか。目黒区民の和館の茶室・和室の利用は区外からの利用を上回っているのかどうかなどは見直されてよいでしょう。他区に見られるように、区民と区外とで利用料に違いがあるわけでもありません。
仮に公園であることを止めて、有料の東京都指定名勝旧前田家本邸とした場合、不利益はどこにあるでしょうか。近隣の住民や保育園の自由な利用ができなくなるということがあるかもしれませんが、目黒区民の比率はごくわずか、といってよさそうです。ただ、日本近代文学館が敷地内にあるので、公園全体の有料化には工夫が必要かもしれません。
また、洋館が東京都、和館と庭園が目黒区、という管理体制については、来館者の立場を考えると一元化によるメリットはありそうです。建物に入るには有料ということも容易になります。
駒場公園整備事業への目黒区一般財源による負担が、区民の納得が得られるものなのかどうか、気になるところです。