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2024年10月

裏渋谷は4年後にはどうなっているのか(2024-10-22)

渋谷駅がリニューアルされている4年後ですが、渋谷駅周辺の各地はどう影響を受けるのでしょうか。渋谷109からの道玄坂、文化村通り、センター街、公園通り、明治通りなどでも、建設中のビルがいくつもあり、大規模再開発の計画もあるようで現状がそのまま維持されることはないでしょう。

裏渋谷と呼ばれる井の頭線神泉駅付近についても例外ではありません。日本の伝統文化の街ともいえそうな花街として賑わっていた100年前からの面影をわずかに残す地域なのですが、現在は更地が増えています。街が衰退しているのではなく、生まれ変わるための準備であることは間違いないとしても、どのようなものができるのかわからない落ち着かない状態といえます。

この裏渋谷がどう変わるのか、その設計図は作れないのでしょう。そこで、この土地を抑えておけば利益が出るとの思惑で用地買収が進んでいるように見受けられます。ラブホテルから高級なライフスタイルホテルへの転換ということもあるのでしょうか。いずれにしても投資としての用地買収が外資を含む複数の企業により行われていると考えてよさそうです。そして再開発されるにしても、ひとつのプロジェクトの規模は、渋谷の他の地域と比べると大きなものにはなりにくい土地です。

なので、大切なのは街のなんとなく感じることのできる「空気」であり、その空気づくりの努力が必要なように思われるのです。大規模再開発であれば事業者がそんな空気づくりをするわけで、例えば2000年に渋谷マークシティが誕生したときには「オトナ発信地」というコンセプトが打ち出されました。それまでの渋谷は若者の街として知られていた時代があったからでしょう。

しかし今、渋谷は一つの街というよりは、いくつもの街からなる複合体とでもいえるのでしょうか。その一つである東急と外資による渋谷アッパーウェストのプロジェクトは、松濤、神山町を含むものになりそうですし、また、ドン・キホーテは道玄坂通 (dogenzaka-dori)を中心に独自の街をつくろうとしているようです。

円山町・裏渋谷地区はそれらに隣接しながら特定のコンセプトを打ち出してはいません。再開発により地価があがれば家賃の値上がりとなり、それでも利益の出せる事業者は限られそうです。

来街者としてどのような人たちを想定できるのか。下北沢や三軒茶屋とは違い、銀座や六本木でもない街として、裏渋谷が位置づけられる可能性もありそうです。そのイメージづくりの担い手は、地域の人たちのネットワークによる、渋谷の企業をまきこんだ情報発信しかないでしょう。裏渋谷の100年の歴史から醸し出される街の空気が消えてしまうようなことにならないことを祈りたいものです

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4年後の渋谷はどうなっているのか(2024-10-19)

4年後というのは2028年になります。渋谷の再開発の計画は現在でもいろいろあるようですが、4年後の2028年3月までに竣工予定の大型のプロジェクトは3件です。その中で一番早いのが道玄坂での案件で、2027年3月竣工予定の三菱地所による地上30階のオフィスビルと地上11階のホテルです。ホテルはラグジュアリー・ブティック・ホテルということで、客室単価が5万円から30万円と想定しています。オフィスビルとの間には広場もできて、マークシティからのアクセスも可能になります。マークシティから百軒店に行きやすくもなるのでしょう。これは今から3年後のことです。

翌2028年3月竣工予定で工事中なのが一つは東急本店の跡地です。現在休業中のBunkamuraもその時点で改装を終えて営業再開となります。その中身は「ザ・ハウス・コレクティブ」と称する、ホテルではなくハウスというコンセプトのラグジュアリーな滞在施設とされます。現在、北京、上海、成都、香港で展開しており、中国大陸から初の海外進出というもので、そのノウハウを生かすことになるのでしょう。世界の富裕層を対象とするものでしょうか、ちょっと敷居が高くなりそうです。

同じ時期にJRの渋谷駅とスクランブルスクエア中央棟・西棟がようやく竣工します。JRの線路をまたぐ中央棟が地上10階で地下2階、西棟が地上14階地下5階とされます。中央棟の屋上が東棟と西棟をつなぐ形になり、東棟も商業スペースは14階まであるので、中央棟・西棟と併せ大規模な商業スペースが誕生することになります。半世紀前なら大型百貨店となるのでしょうが、そんな時代ではありません。大型専門小売店がキーテナントになると考えてよいでしょう。その3階は渋谷駅の西口と東口をつなぐ遊歩道ともなるので、そこは広告スペースとすることも採算的にメリットがあるかもしれません。

では、その出店する大型専門店などは新たに渋谷に出店する店なのか、それとも現在渋谷の各地にあるものが移転してくるのか。渋谷での移転があるとすると、その跡地はどうなるのか、といったことが気になります。渋谷に観光客が増えるにしても、物販店の売り上げが今以上に増えるアイテムは限られると考えられるからです。

新しい渋谷駅の誕生は、周囲に影響を与えずにはいません。渋谷での事業展開には、2028年の変化による影響をいろいろ考える必要があるでしょう。

 

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消える渋谷の思い出(2024-10-3)

再開発はどこでも行われていますが、渋谷の場合は街の思い出になるようなものを壊しながら再開発が進められているようです。新しくできる光景は過去を消し去り、懐かしさなど残さないようです。渋谷といえば、ひところは若者の街といわれていました。そのイメージを20年ほど前から変える流れがありましたが、SHIBUYA109がジュニアの聖地だったのはそれほど昔ではないでしょう。

東急東横店がコロナの到来とともに閉店し、東急本店もコロナが終わるころになくなりました。いずれも建物が渋谷のランドマークのようなものだったばかりでなく、買い物にでかける場ということで、人の流れも作っていたことになります。その人の流れが止まってしまい、今はカオスのようなスクランブル交差点付近やセンター街を見物するインバウンド客の観光地となっています。

日々変化している街なので、記憶に残らない街になってしまいます。目的の場所に行く以上のことはできないといってよさそうです。その変化は駅前周辺にとどまりません。裏渋谷ともいわれる、神泉駅の周辺までにまでも及んでいます。なぜ変化しなくてはならないのか、との問いに対する答えは、渋谷駅周辺の土地には投資する価値があるとみられているからでしょう。シャッター街化しているところとは違います。

投資が目指すものは何なのかは自明なことなのでしょうか。まず床面積だけ確保しよう、その中身は後から考えればよい、この地域の価値が上がることは間違いない。そんな思惑が感じられます。なので渋谷はどんな街を目指しているのか、ということはわかりません。まず、地域住民は不在といってよい状態です。地権者の利益計算以上のものがあるのでしょうか。

だからといって、良好な環境が破壊されるというものではなく、人が集まってくるのだろう、ということしか見えてきません。それが悪いことともいえないでしょう。外国資本の餌食になるのはいやだ、との見方もあるかもしれませんが、東京が国際都市を目指すのであれば、避けられないことでしょうし、東京のどこにその可能性があるのか、といわれれば、良好な住宅環境も近くにある渋谷が選ばれそうです。

渋谷の思い出は消え、いつのまにか、思いがけない街がそのあとにできてしまう。それがどんなものなのか、誰も知らない。そんなことのように思えるのです。

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