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文化財で文化の継承について考える(2024-3-21)

駒場には、東京大学教養学部1号館、東京大学先端科学技術センター13号館、日本民藝館本館、尊経閣文庫、旧前田家本邸といった建築物の重要文化財、有形文化財がある。さらに尊経閣文庫内には国宝22件、重要文化財76件がある。これらの建物が文化財の指定を受けたのは、旧前田家本邸洋館が1991年に東京都有形文化財に指定されたのを除くと、2000年代になってからのものである。歴史的建造物になったから文化財になるのか、あるいは、経済成長が終わって文化財への関心が高まったからなのだろうか。

 考えてみると、経済成長に文化財、あるいはそれまでの伝統文化そのものが邪魔なのかもしれない。たとえば、中国政府がウイグルの文化を破壊しようとしているのもそういうことからなのようだ。ウイグルの文化を伝える知識人を消し、その文化を受け取るだろうこれから生まれて来る人も消すことで、文化が継承されることを阻止しているということだ。漢民族が少数民族を同化しようとしていることの背景として、それによって生産力が発展し、発達した生産力をみんなが平等に享受していく社会としての社会主義社会を目指し、指導しているのが中国共産党だということらしい。とするならば、ウイグルの文化、あるいはチベットの文化などはその阻害要因でしかないことになる。つまり、さまざまな民族が中国人として一つの社会主義社会を形成することが中国共産党政権の目指すところである。

一方、我が国のように文化財が長期間守られて来た国は例外といってもよい。それでも、近代化、経済成長がほぼ当然のことであった時代には、それまでのもの、例えば最近復原している天守閣なども破壊された。伝統芸能についても関心が乏しかったといえるだろう。自然環境の破壊も付随していた。しかしその反省がいまある。

 文化財は一般的に観光資源でもある。ただ、駒場の文化財は観光資源である必要はない。それで地域起こしをしようと考える人がいるだろうか。ただ、ここに文化財が多くあり、それが何故貴重なのかを理解してもらえばよい。誰に理解を求めるか。駒場にある大学や高校の関係者であり、その場所の管理者である目黒区の住民である。

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