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2022年9月

駒場住宅跡地整備計画に対する意見―8(2022-9-16)

 <防災備蓄・避難スペース機能について>

 駒場住宅跡地整備計画は、目黒区から防災備蓄倉庫の設置と災害時の避難スペースとなることを考慮し提案とすることが条件づけられていた。その計画が南側敷地と北側敷地に分割され、それぞれの敷地で防災関連施設の設置を踏まえた計画が出ているようである。

南側敷地では「防災拠点型地域交流スペース」、南側敷地では「防災備蓄倉庫」の設置が記されている。

 そのままであれば、いずれも管理者は目黒区になるはず。南側敷地で選定された鵜足津(うたづ)福祉会、北側敷地の住友商事の双方で目黒区が関わりを持つことに意味があるとしても、南側は特養なので目黒区との関わりは深い。なので、防災面では北側に一本化した方が地域住民には分かりやすいのではないか。具体的内容について憶測しても仕方ないので、これは目黒区の所管からの説明が求められよう。

 令和5年4月着工予定とのことであるが、それまでにどのように最終的な設計にするのか。あるいは、選定された業者は、住民や目黒区に説明はするが変更はしない、その必要はない、と考えているのかについて、確認しておく必要があろう。着工が遅れることで困ることは何もないはずである。

 特に目黒区・目黒区議会は、業者が決まったのだから、ということにすると、来年4月の区議選にも影響が及ぶかもしれない。

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―7(2022-9-15)

<コミュニティ拠点について>

駒場住宅跡地整備により、駒場住区センターの機能が移ることが議論の対象になる。住区センターは目黒区の広報スペースであると共に、地域社会の会議室としての役割を果たしている。それが北側敷地のコミュニティ拠点に移るとされる。また、南側敷地にも防災拠点型地域交流スペースの設置があげられているが、どのようなものになるのか。

 目黒区の区有施設見直し方針の原則として次の3項目がある。

原則1 新しい施設の整備は、原則、行わない。【新規凍結原則】
原則2 施設の更新(大規模改修、建て替え)は事前調整のうえ、原則、多機能化・集約化、複合化した施設とする。【事前調整原則】
原則3 施設総量(総延床面積)の縮減目標【数値目標原則】

 その手法として挙げられているのは以下の8項目。

手法1 受益者負担の適正化
手法2 長寿命化
手法3 公民連携の推進(民間活力の活用)
手法4 多機能化・集約化
手法5 複合化
手法6 低未利用地等の活用
手法7 広域的視点にたった連携
手法8 地域による維持・管理

 住区センターは目黒区の施設であったが、上記原則に則り、コミュニティ拠点は整備されることになる。住民にとっては好ましいものではないかも知れないが、この原則を曲げることの合理的理由があるとすれば、どのようなことなのか。

 とはいえ、駒場住宅跡地のコミュニティ拠点は、その立地から、計画されている学生寮の学生や、通学する高校生のコミュニティ拠点になるのではないかとの懸念がある。趣味の会としての場だけではなく、住区住民会議や駒場防災会議、目黒法人会といったものから、集合住宅の管理組合総会などにも利用されている会議室機能が、どの程度維持されるのかはこれからの協議課題になるだろう。

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―6(2022-9-14)

<安全・安心への懸念>

 駒場住宅跡地整備計画は、事業者が南側と北側で異なり、それぞれ別個に計画を出しているが、利用される道路などは同じである。それぞれの施設ができることによる交通量の増加は予測されなくてはならない。

 南側敷地に計画されている特別養護老人ホームの規模は以下の通り。

特別養護老人ホーム(ユニット型)(定員84名)
併設ショートステイ(ユニット型)(定員12名)
防災拠点型地域交流スペース
小規模多機能型居宅介護(登録定員29名、通い18名、宿泊9名)
認知症対応型通所介護(定員12名)

これに加えて北側敷地に老人ホームが計画されているのである。特養と有料老人ホームは違うとの説明が北側敷地の説明会であったが、経営形態は違っても、老人ホームとしての周囲への環境負荷に変わりはない。北側と南側の両方の老人ホームの定員の合計が、規模の目安となる。

 駒場住宅跡地に入ることができるのは、淡島通りからの約4メートル幅の箇所もある一方通行路と、駒場野公園に隣接する生活道路。北側敷地には、東側の一方通行路からの車両進入路を作るようだが、南側敷地は一方通行ではないもの約4メートル幅の生活道路に囲まれる。東側道路から老人ホームへの進入路としては狭すぎるから北側敷地を使っての道路拡幅が検討されているのだろうか。

 淡島通りからの道は、通学路で朝の時間は通行止めにもなり、その入り口にも淡島通りに面して特別養護老人ホームの駒場苑がある。老人ホームが3軒並ぶことになり、その収容人数の合計は200人を超える。

駒場苑は淡島通りに面しているので問題はないが、老人ホームができることによる交通量負荷を知る目安にはなるだろう。救急車による搬送頻度も想定できる。

 更に加えてスーパーマーケットに係る交通量。搬入路は駒場通りからということになるだろうか。これも生活道路を使わざるを得ない。説明資料では歩行者道を敷地内に作るようではあるが、自動車のすれ違いには苦労しそうである。

マイカーでの買い物はないとしても、自転車・オートバイでの利用者はあるだろうから、その駐輪スペースをどうするかが課題になる。

自動車の交通量が増える見通しのなかったときにできた街並みなので、車両の通行には適さない。施設を作ることにより必要となる車両からの安全を、どのように確保できるのかについての納得できる説明が不可欠であろう。警察・消防の意見も欲しい。

 

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―5(2022-9-12)

 <駒場らしさとは>

 計画のコンセプトは「地域資源を活用し、社会課題を解決することで、駒場らしさが持続するまちづくりを行います」としている。

駒場らしさを○○らしさと置き換えればどこでも通用するようなフレーズなのだが、住民説明資料のコンセプトから、駒場らしさとは何かを読み取ることはできない。

何が駒場らしさなのかは、人により理解が違うだろうが、まず、範囲は住居表示が駒場のエリア、駒場町会のカバーする地域についてである。

南は淡島通り、東は山手通り、北は航研通りともコスモ通りとも呼ばれることもあるが、通称にはなっていない。山手通りと中野通を結ぶ道である。西は駒場通りとなっている。

それら駒場を囲む道路以外には、一方通行でなくとも、車がすれ違うことのできる道はない。それが駒場らしさであることには気づきにくいかも知れないが、まちづくりを考える上では重要である。再開発で道幅を広げるべきと行政は考えるかもしれないが、そのような動きはないし、そうしたいと思う住民はほとんどいないだろう。

駒場の歴史は徳川時代の鷹狩場にはじまる。淡島通りの南側には御用屋敷があり、徳川将軍は鷹狩の後、御用屋敷で休憩したそうで、御成道(おなりみち)というのもあったようである。鷹狩場は明治になって駒場農学校となった。東大農学部の前身である。駒場のほとんどは実験農場であった。駒場野公園のケルネル田んぼにその面影を残す。

昭和に入り、駒場の農学部キャンパスが本郷に移転することになり、本郷の帝国大学に隣接していた、現在も赤門が残る前田侯爵邸が駒場に移ることになった。前田侯爵とは加賀百万石の大名家。それが現在の駒場公園の重要文化財旧前田家本邸なのである。

徳川家と前田家だけではない。京王線に聖蹟桜ヶ丘という駅があるが、駒場東大前の駅名は聖蹟駒場としてもよいほどの大きな聖蹟碑が駅前にある。明治維新当初、明治政府の軍隊として最初閲兵が駒場であり、そのことを記念する石碑なのだ。

 そして現在、駒場には東京大学駒場Ⅰキャンパスと駒場Ⅱキャンパスがある。その間に旧前田家本邸のある駒場公園が井の頭線の線路の北側に、線路の南側には都立国際高校と駒場野公園が整備計画地に隣接してある。

車の通行に適さない駒場の中心にあるのが駒場東大前駅。利用者は東京大学の学生と職員、都立国際高校、都立駒場高校、日本工業大駒場高・中校、筑波大付属駒場高・中校、駒場東邦高・中校の学校関係者が過半であろう。

そのような「駒場らしさ」が持続するまちづくりとは何か。老人ホームと学生寮が主体となる施設が駅前にできる。ならばそれらをどういうものにするかが問われる。東横線多摩川駅前には大田区立田園調布せせらぎ館がある。設計は隈研吾。駒場らしさが持続する施設の外観は、決してコストダウンを優先すべきではない。住友商事ならそれができる。

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―4(2022-9-11)

<住友商事による展開の可能性>

 9月4日の住民説明会で配布された計画説明書には「本計画は財務省による二段階一般競争入札企画提案時の内容であり、今後の協議・検討等により変更になることがあります。」とある。変更は織り込んでいてA案、B案、C案くらいがあり、反応を見ながら住友商事として総合的に最大の利益が得られるところに落ち着くとみる。

 計画による建物は3棟。①スーパーマーケット・ワークプレイス棟、②多世代共生棟(学生寮)、③多世代共生棟(老人ホーム)である。今回の説明書に示した絵は建物面積・床面積を規制ギリギリとしたものだろう。また、建物のデザインも建設コストを最小限に抑えたものにしているようだ。駐車場はあるが駐輪スペースが見えない。

 個々の問題点の指摘をする前に、想定される事業計画を考えてみよう。

 まずスーパーマーケットであるが、住友商事の一事業であるサミットになろう。地下1階、地上4階の建物の2フロアーと1フロアーの半分にスーパーマーケットがはいり、1~10名用の小規模オフィスとなる、フレキシブルワークプレイスが残りを占める。

公衆トイレのスペースを含め、建物の延床面積が約3千㎡。ライフ池尻大橋店の売り場面積が約1千㎡なので同規模となる。商圏人口は池尻大橋と比べると少ないが、競合店がないことで採算の目途はたつだろう。

フレキシブルワークプレイスはBunkamuraに近い10フロアーからなる「ワークコート渋谷松濤」との比較となる。駒場東大前駅前ということから人気がでそうで、スーパーマーケットの売り場面積との調整も完成後にはありうるだろう。

 学生寮と老人ホームを主体とする多世代共生棟の延床面積は13845㎡。こちらはベネッセに業務委託する可能性が高い。新宿区四谷本塩町に今年3月に新規オープンしたグランダ四谷のホームページには「外観/土地の所有形態:事業主体非所有 建物の所有形態:事業主体非所有」とあり、これを建設した住友商事の物件なのだろう。ベセッセは、近隣ではグランダ目黒、グランダ学芸大学、アリア碑文谷など展開している。

また学生寮については、国際学生寮としてベネッセが運営することが想定できる。ドラッグストアはトモズということになろう。

 いずれにしても、設備投資の金額とそこから得られる収益が計算がされているのだろうが、東大の門前施設として広告塔にもなるので、住友商事全社として活用されることを期待できないものだろうか。

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―3(2022-9-10)

<建築主:住友商事の不動産事業>

 ―土地の歴史や住民の思いに敬意を払うー

不動産が開発されるエリアは、土地ごとに歴史や文化が異なります。その場所が持つ個性やそこに暮らす人々の思いに敬意を払いながら、地域住民とコミュニケーションを取り続けるのが、当社の不動産事業の変わらない姿勢です。当社における最も地道で、最も地に足の着いたビジネスの一つ。それが不動産事業であると言ってもいいかもしれません。

 これは駒場住宅跡地(北側敷地)を整備することになった、住友商事株式会社のホームページの中、不動産事業紹介での一節。9月4日の駒場小学校での住民説明会の中で出された質問を目黒区都市整備課街づくり調整係にて集約し、次回の説明会で報告するとされているが、それが上記の会社方針に反することはないものと信じたい。

 住友商事の提案の骨子は有料老人ホーム、学生寮、それとスーパーである。他にもいくつかの機能を織り込んでいるが、床面積ではその3つで90%を超えるのではないか。国への年額支払い料3億8760万円に加え、建設費の減価償却、維持管理費等をそれぞれのテナントからの収入で賄うことになる。

 住友商事の2021年度の利益は4637億円。全社6事業部門からなり、その一つである生活不動産部門の「国内不動産SBU・海外不動産SBU」の中の、住宅施設ビジネスラインが駒場住宅跡地(北側敷地)整備計画を担当すると思われる。(SBUとはStrategic Business Unit

同社の昨年12月の事業部門説明会資料によると、住宅施設ビジネスラインの今後の対応は、現状維持で、分譲マンション事業は販売単価下落バッファーを見込み、学生寮、老人ホームなども含めた多様なアセットポートフォリオを構築としてある。

また、国内不動産SBU・海外不動産SBUの2021年度純利益は390億円、2022年度には400億円レベルと見込んでいる。

駒場のプロジェクトは、住宅施設ビジネスラインの多様なアセットポートフォリオ構築の一環であろうが、それを単に利益をあげるためのものと考えるのが、住友商事全社の長期戦略に役立てる場とするのか。関東財務局との契約の中で検討の余地はあるのではないかと思われる。

 次回以降、その点についての意見を述べることにする。

 

 

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―2(2022-9-9)

<目黒区の関わり>

 目黒区は令和2年11月に「国家公務員駒場住宅跡地活用方針」を策定・公開し、今年の7月27日、以下の通り発表している。

 「国は令和33月に国家公務員宿舎駒場住宅跡地に係る利用方針を策定し、敷地南側については特別養護老人ホーム等の整備用地として、区が公募により選定する特別養護老人ホーム等の整備運営事業者に対して、定期借地権による貸付けを行うこととしました。

区において整備運営事業者の公募を行い、事業者から提出された事業提案書を選定委員会において審査・評価した結果、下記の事業者を国への推薦事業者として選定しました。」

法人名:社会福祉法人 鵜足津(うたづ)福祉会(所在地:香川県綾歌郡宇多津町)

 現在目黒区民が入居可能な特別養護老人ホームは、目黒区内に9施設、青梅市など区外に15施設ある。現在でも施設が不足している中、今後10年は入居を希望する人が増えることは確実なので、おそらく、計画が遅れることのないよう、跡地全体を南側と北側に分けて、以下のスケジュールで開設できるようにしたものである。

令和4年度 東京都補助協議開始
令和5年度 補助内示、国と定期借地権設定契約、工事着工
令和7年度 施設開設

 目黒区の課題としては、ほかに、防災備蓄倉庫の設置と区有施設の見直しがある。区有施設の見直しとは現在の住区センターの廃止と機能の整備計画の中に移行することである。令和2年11月の活用方針には共に「区の有償借上、区による管理・運営」となっている。

 9月7日に開催された目黒区議会本会議で、川原のぶあき区議の区有施設に関する質問に対する答弁が目黒区長からあった。その中で、区有施設の総床面積縮小、業務コストの削減、包括的保守管理委託、民間企業と連携、区有施設の効果的・効率的マネジメントということばが出た。(インターネット中継をメモしたもので、議事録が出るのはかなり後になる)

住区センター機能部分が区の有償借り上げとすると、その価格は何らかの相場で決められるのか。それとも包括的保守管理委託ということで、利用料を民間企業が受け取ることになるのか、ということも気になる。

278千人の人口の目黒区で、駒場の人口は7千人足らずの約2.5%。特養ができ、区有施設が効率化できれば、それ以上のことは知らない、いうことになってしまうのだろうか。

それよりも毎年3千人が入学し、常時1万人近くの学生・職員が通う東京大学前の施設としてふさわしいものは何かが問われるのかもしれない。

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駒場住宅跡地整備計画に対する意見―1(2022-9-8)

<国有地であることの意味>

 駒場東大前駅西口前にある国有地、駒場住宅跡地は、売却せずに定期借地権により民間で活用する方針となっている。売却しなかったのは、公益を守るためであったはずだ。

しかし、今回の整備計画によると、国有地であればこそ可能なものが何もない。入札では年間貸付料3億8千760万円、54年間で209億3千40万円に相当する金額を提示した業者が最高額ということで落札している。

 国会でもしきりに議論の対象となった森友学園への国有地払下げの金額が1億3400万円。1年間の貸付料だけで森友学園への払下げ金額の3倍近い数字が今回の事案とすれば、森友問題などたいしたことではないという印象すら受ける。

無論森友学園の件は払下げ金額が低すぎたのが問題なので、駒場住宅地跡地は高いのだからで何が悪い、ということになりそうだが、そうともいえない。国庫の収入が大きいことは、事業者が入手した土地から最大の土地代を払うことができる案が採択されたことなのである。最大の土地代を払うことのできるビジネスプランが、それだけで公益に資するといえるのかどうか。

 例えば、公共広場の面積を十分にとって、収益の得やすい事業スペースを少なくすれば、入札価格は低くなる。しかし、その方が景観的にもよいだろうし、利用者にとっては望ましいはずである。つまり、落札金額が大きいことと、地域の満足度はトレード・オフの関係となるといってよいのではないか。国民の満足と地域の満足は違って当然との反論もあるかもしれないとしても。

 平成30年から令和3年まで、多くの時間を費やして導入すべき施設、導入が望まれる施設が検討されてきた。目黒区議団も視察に来ている。そしてその結果が、誰も想定していなかった事業者提案施設が敷地の過半のスペースを占めることになったのである。地域の満足と国民の満足を単純につなぎ合わせた結果なのかもしれない。

しかし、事業者提案施設とはいえ、国有地に作る施設である。当然それにふさわしいものでなくてはならないというのは甘いか。誰もがそう考えて楽しみにしていたのではないか。にもかかわらず、採択された案は老人ホームと学生寮。目新しさはまったくない。それぞれの注視すべき問題点については後日あらためて記す。

繰り返しになるが、国有地を払下げではなく、賃貸での土地利用により業者ができるだけ大きな収益を上げ、土地代を多く国庫に納めることがよいことなのか。国民全体からすれば、ある地域の住民に十分な満足が得られなくても、できるだけ国庫に多く入れてもらうことが望ましい、との考え方もあるかもしれない。財務省はその立場なのだろう。しかし少なくとも環境省は違うだろうし、その他各省庁の立場からこの件を見たらどうなるか。東大駒場キャンパスの学生の思考課題として使えるだろう。

 引き続き、ひとつひとつ問題点を指摘していくことにする。(次回へ)

 

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駒場住宅跡地整備計画(2022-9-7)

前回記した駒場住宅跡地整備計画なのだが、どのような背景からなのかまず整理して説明しておこう。目黒区は今年の5月30日、ホームページで以下の通り説明している。

 「国家公務員駒場住宅跡地について、区は「国家公務員駒場住宅跡地活用方針」(令和211月策定)で、活用コンセプトとして「安全・安心な暮らし」「活き活きとした街の形成」「多様な世代をサポート」を実現するため、「駒場らしい生活空間の形成」を掲げました。

国は、区の活用方針を踏まえ、「利用方針(国家公務員宿舎駒場住宅跡地)」(令和33月)を策定し、敷地を特別養護老人ホーム等敷地(南側敷地)とそれ以外の敷地(北側敷地)に分割した上で、特別養護老人ホーム等敷地は区による公募、それ以外の敷地は国が二段階一般競争入札により事業者を選定していくこととしました。

国が実施する北側敷地の二段階一般競争入札は、国が区との協議により予め開発条件等を設定し、入札参加者から土地利用に関する企画提案書の提出を受けて、開発条件等との適合性等を国が設置する審査委員会において審査した後、審査通過者による価格競争で落札者を決定する企画提案型の入札方法です。

令和4516日、国は、二段階一般競争入札の価格競争を実施し、以下のとおり、落札者が決定しました。」

関東財務局の発表内容は以下の通り。

「落札者:住友商事株式会社、面積7,121.51㎡、企画書提出者5企画提案の審査を通過した者3 通過した企画提案の平均点79.1。年額貸付料3億8760万円。契約期間:令和4年7月1日から令和58年6月30日まで(54年間)」

審査の経過、誰が審査したのかは原則として非公開なのであろう。開示請求をすればできるのかどうかは知らない。

駒場住宅跡地活用計画の検討がはじまったのは平成30年度から。国公有財産の情報連絡会が平成30年8月から令和2年10月まで計4回開催され、駒場住宅跡地利活用検討部会が平成30年9月から令和3年1月まで計7回開催されている。

その間に導入すべき施設等、導入が望まれる施設が具体的に列挙されてきたが、その他の事業者提案施設については、今回の事業者決定後の説明会で初めて示されたといえるだろう。

そしてその事業者提案施設が、老人ホームと学生寮だったのである。延床面積の比率が高いのが事業者提案施設であり、その事業収支は国への年額賃貸料を考慮した上での採算になっていることはいうまでもあるまい。検討されてきた導入すべき施設等、導入が望まれる施設の面積や設備投資は最低限に抑えられていると考えるのはうがちすぎだろうか。

今回の対象は北側敷地であり、南側は、目黒区が社会福祉法人 鵜足津(うたづ)福祉会を選定して、令和5年度に国と定期借地権設置契約を締結し、令和7年度に施設開設としている。概要は以下のとおり。

敷地面積:2,950.02平方メートル 特別養護老人ホーム(ユニット型)(定員84名) 併設ショートステイ(ユニット型)(定員12名) 防災拠点型地域交流スペース 小規模多機能型居宅介護(登録定員29名、通い18名、宿泊9名) 認知症対応型通所介護(定員12名)

 これについては別途説明会があるという。

 計画内容についての意見は引き続きこのブログに記していきたい。

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「駒場住宅跡地(北側敷地)整備計画」説明会(2022-9-4)

駒場東大前駅西口前の旧公務員宿舎跡地整備についての説明会が駒場小学校体育館で行われた。目黒区都市整備課長、住友商事(株)、(株)イトム都市設計、関東財務局が説明者の立場で、住民の参加者は50人を超えていたようだ。

15時から17時までの2時間が説明会に与えられた時間。これまでの経緯について目黒区の都市整備課長から説明があり、住友商事から資料にもとづく整備計画全体の説明がされた。

質問は10人以上の方々から出たが、時間切れとなり、まだあれば質問用紙で、ということなので、まず質問をここに記す。

 「導入施設としてあげられているのは以下の11項目ある。

〇(有料)老人ホーム、〇クリニック/ドラッグストア、〇防災備蓄倉庫、〇コミュニティ拠点、〇ワークテラス・カフェ、〇カフェ等生活利便店舗、〇学生寮、〇学童クラブ、〇スーパーマーケット、〇フレキシブルワークプレイス、〇公衆トイレ。

住友商事がディベロッパーでテナントとしてスーパーマーケットなどから家賃収入を得るものであろうが、コミュニティ拠点、防災備蓄倉庫、公衆トイレの管理は目黒区に無償利用権が与えられているのか。コミュニティ拠点については住区センター民営化にならないのかどうか確認をお願いします。」

 以下、本日の説明会での質疑応答から、今後関係者で共有することになろうことを記す。目黒区の都市整備課は議事録的なものを公開する用意があれば、不正確で不要のものかも知れない。

 目黒区の地域街づくり条例にもとづいて設置されている、駒場街づくり研究会の会長から、この件に関する要望書が住友商事に手渡された。その回答が改めて説明会で示されるだろう。

「この整備計画案に賛成の人は拍手を」という質問者に対し、賛成の意思を表明する人はなく、これまでの検討の内容が反映されていない、との不満が多い。

最終的に3社の中から住友商事が選ばれたとのことであるが、その理由は価格が最高であったからとの答えが地権者である関東財務局からあった。それでいいのか、という疑問はあるものの、この内容を変えることができるのか、という質問に対しては、即答できないとのこと。所定の敷地面積から最大の建物容積を算出して、それをどう切り売りすれば収益が最大化できるか、というディベロッパーの計算の値が一番大きいのが採択されたという事実に対して、誰が責任を負うか、とうことなのだろう。

 「学生寮、老人ホームができるとは思っていなかった。特養が南側敷地にできるのに何故」という質問に対して、特養と有料老人ホームは違うとの説明もあった。その対象は違っても老人ホームであることは近隣住民には変わらない。救急車が頻繁にくるようになることは想像できる。救急車でなくとも、狭い道路に来る車両が増えれば、歩行者の安全が脅かされる。

 この計画が実現してスーパーができることのメリットはあるとしても、地域社会に対する説明としては、広場がない、緑がない、などマイナスなものが目立った印象である。

 国有地を有効に活用して、国庫収入が少しでも増えることを歓迎する、という立場に立たない限り、ディベロッパーの企業イメージを落とすことにならないか懸念する。

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