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100年後にも残したい景観(2022-7-7)

100年以上前に誕生し、これから100年後にも残したい景観というのは、それほど多くはあるまい。井の頭線の駒場東大前駅を出て、吉祥寺方面に向かう電車の左側にすぐ見えてくる駒場野公園のケルネル田んぼはその一つである。できたのは今から140年も昔の1880年頃のようで、駒場農学校の敷地に、我が国最初の試験田として誕生した。群馬県出身の農業家で教官に抜擢された船津伝治平(在任1878年~85年)と、ドイツ人教師オスカー・ケルネル(在任1881年~92年)が関わっていて、水田土壌やイネ作肥料の研究で功績のあったケルネルの名前をとってケルネル田んぼと呼ばれるようになった。当時は周囲一帯が実験農場だったのだろう。

駒場農学校は時代を経て東京帝国大学農学部となり、1935年にそのキャンパスが本郷に移っても、付属農業教員養成所が東京農業教育専門学校となってそのまま駒場に残り、それが1949年に東京教育大学農学部となった。1947年には東京農業教育専門学校付属駒場中高校が設立され、ケルネル田んぼを水田学習の場とし、それ以来、学校の名称は変わっても、現在の筑波大学付属駒場中高校にその伝統が引き継がれている。

 そのケルネル田んぼが将来に向けて大規模の改修の必要が出てきている。そのため、総額5400万円が必要とのことで、筑波大付属駒場中高校がクラウドファンディングで7月末まで募金活動をしている。これまで2900万円の寄付が集まっているが、道半ば、というところか。

 学校の水田学習の場と同時に、農学遺産として後世に残せるようにしたいとの趣旨であり、学校関係者からの寄付を期待しているようである。しかし、それだけではなく、東京の中での守りたい景観としてかけがいのないものなので、学校の農業学習の場を守るという趣旨にとどまらずに、地域社会はもとより、広い範囲からの寄付を得て、クラウドファンディングの目標額が達成することが望まれる。

 

駒場農学レガシー,ケルネル水田を未来に継承するために(筑波大学附属駒場中高等学校 2022/06/06 公開) - クラウドファンディング READYFOR

 

 

 

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