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建設続く東京の高層ビル(2022-1-20)

「失われた30年」とか言われる。しかし、東京都庁舎が竣工した1991年(平成3年)から30年後になる2021年までと、それ以前の1961年からの30年間に東京で建設された高層ビルを比較すると、最近の30年には、より高く、より多くの高層ビルができていることに気づく。高度成長期・バブル期の後の「失われた30年」の時代とは何のことかとも。

 1961年の時点では建築基準法によりビルの高さは31メートルに制限されていた。東京タワーが竣工したのは1958年。当時、東京タワーはどこからでも見えるランドマークとなっていた。その後1964年にホテルニューオータニが73メートルで高さ日本一になり、1968年に高さ147メートルの霞が関ビルができて、それが日本の高層ビルの先駆けとされている。

 その後、1970年に世界貿易センタービル(163m)、71年に京王プラザホテル(179m)が新宿駅西口に誕生。その新宿のエリアで、74年に新宿住友ビル(210m)、新宿三井ビル(223m)が日本一の高さを更新し、78年に新宿野村ビル(210m)と79年に新宿センタービル(223m)、最後に1991年に東京都庁舎(243m)が竣工して新宿西口高層ビル街が完成した。ちなみに都庁舎竣工前は、池袋のサンシャイン60(240m)が1978年から高さ日本一の地位にあった。

 しかし、200メートルを超す高層ビルが新宿以外の地で次々に建つようになったのは2000年代に入ってからである。2003年に六本木ヒルズ森タワー(238m)ができ、2007年には六本木のミッドタウンタワー(248m)が都庁舎を抜いた。更に2014年に虎ノ門ヒルズ(256m)ができて、現時点ではこれが東京で一番高いビルとなっている。

 そうして、今年2022年から27年までに竣工予定のビルは、競うように高度を増す。今年竣工予定のものでは、5月に入居開始予定の虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー(221m)と、8月末予定の東京ミッドタウン八重洲(240m)がある。来年の2023年3月に完成する虎ノ門・麻布台プロジェクトでは、日本一となる高さ325mのビルの他、263mと237mの高さのビルが2棟並び、「都市の中の都市」を形成する。ほぼ同じタイミングの2023年3月に完成する新宿の東急歌舞伎町タワー(225m)は、その高さが目立たなくなるほどである。

 また、7月には虎ノ門ヒルズステーションタワー(266m)が、地下鉄日比谷線虎ノ門ヒルズ駅に竣工するのである。2001年に竣工したセルリアンタワーの高さが184mであることを考えると、いかに多くの高層ビルが次々に建設されているのかと思わざるを得ない。

 

更に、2027年には、トーチタワー(390m)が2021年に竣工した常盤橋タワー(212m)とペアとなるTOKYO TORCHとして完成する。ビルが次々に建てられて作られた広大なフロアスペースが、どれだけ有効に活用されるのか。それらのビルに入居する多くのラグジュアリーホテルの予約がとりにくくなるなら、東京の未来は明るい。

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