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2022年1月

高層ビルで変わる渋谷の街並み(2022-1-28)

渋谷に初めて誕生した100メートル以上の高層ビルは、今から56年前の1975年竣工の東邦生命ビル(高さ131m)である。1999年に渋谷クロスタワーと名称が変更になったが、2001年にセルリアンタワー(184m)が竣工するまで、渋谷駅周辺で高さが一番であるだけでなく、100m以上の高層ビルとしては、1998年の渋谷インフォスタワー(102m)竣工まで、23年間もの間唯一の存在であった。2000年には渋谷マークシティ(100m)が竣工していて、セルリアンタワーに続く2003年竣工の集合住宅青山パークタワー(120m)が渋谷で6番目の高層ビルとなった。

2番目の1998年のインフォスタワーから、2010年の渋谷ファーストタワー(130m)までの12年間には6棟の高層ビルができただけである。

現在渋谷には15棟の100メートルを超す高層ビルがあるが、7棟は2018年から20年の3年の間に竣工したものである。

更に、2023年から26年にかけての3年間に竣工する予定の高層ビルが5棟ある。2023年が、渋谷駅の南側に建設中の2棟(180m133m)と、東急本店前。2024年がヒカリエの奥(123m)。2026年にはマークシティの横に2棟並び、1棟が155mの高さでマークシティの1.5倍となる。

高層ビルは街の景観を変える。高層ビルに囲まれるようになった渋谷は、すでに数年前とは違う街になっているのではないか。東急東横店が閉店してから2年足らずで建物の解体は半分ほどだが、渋谷の顔は日々変わっていく。

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建設続く東京の高層ビル(2022-1-20)

「失われた30年」とか言われる。しかし、東京都庁舎が竣工した1991年(平成3年)から30年後になる2021年までと、それ以前の1961年からの30年間に東京で建設された高層ビルを比較すると、最近の30年には、より高く、より多くの高層ビルができていることに気づく。高度成長期・バブル期の後の「失われた30年」の時代とは何のことかとも。

 1961年の時点では建築基準法によりビルの高さは31メートルに制限されていた。東京タワーが竣工したのは1958年。当時、東京タワーはどこからでも見えるランドマークとなっていた。その後1964年にホテルニューオータニが73メートルで高さ日本一になり、1968年に高さ147メートルの霞が関ビルができて、それが日本の高層ビルの先駆けとされている。

 その後、1970年に世界貿易センタービル(163m)、71年に京王プラザホテル(179m)が新宿駅西口に誕生。その新宿のエリアで、74年に新宿住友ビル(210m)、新宿三井ビル(223m)が日本一の高さを更新し、78年に新宿野村ビル(210m)と79年に新宿センタービル(223m)、最後に1991年に東京都庁舎(243m)が竣工して新宿西口高層ビル街が完成した。ちなみに都庁舎竣工前は、池袋のサンシャイン60(240m)が1978年から高さ日本一の地位にあった。

 しかし、200メートルを超す高層ビルが新宿以外の地で次々に建つようになったのは2000年代に入ってからである。2003年に六本木ヒルズ森タワー(238m)ができ、2007年には六本木のミッドタウンタワー(248m)が都庁舎を抜いた。更に2014年に虎ノ門ヒルズ(256m)ができて、現時点ではこれが東京で一番高いビルとなっている。

 そうして、今年2022年から27年までに竣工予定のビルは、競うように高度を増す。今年竣工予定のものでは、5月に入居開始予定の虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー(221m)と、8月末予定の東京ミッドタウン八重洲(240m)がある。来年の2023年3月に完成する虎ノ門・麻布台プロジェクトでは、日本一となる高さ325mのビルの他、263mと237mの高さのビルが2棟並び、「都市の中の都市」を形成する。ほぼ同じタイミングの2023年3月に完成する新宿の東急歌舞伎町タワー(225m)は、その高さが目立たなくなるほどである。

 また、7月には虎ノ門ヒルズステーションタワー(266m)が、地下鉄日比谷線虎ノ門ヒルズ駅に竣工するのである。2001年に竣工したセルリアンタワーの高さが184mであることを考えると、いかに多くの高層ビルが次々に建設されているのかと思わざるを得ない。

 

更に、2027年には、トーチタワー(390m)が2021年に竣工した常盤橋タワー(212m)とペアとなるTOKYO TORCHとして完成する。ビルが次々に建てられて作られた広大なフロアスペースが、どれだけ有効に活用されるのか。それらのビルに入居する多くのラグジュアリーホテルの予約がとりにくくなるなら、東京の未来は明るい。

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カーボンニュートラルに向けて(2022-1-5)

2050年にカーボンニュートラルを達成するということが世界の目標となっている。環境省、経済産業省のホームページには、国としての政策や関連情報が公開されており、具体的に何をしたらよいかということも示されていて、政府の方針が確認できる。

しかし、その全貌をわかりやすく解説した本がないものかと書店で眺めて見つけたのが、堅達京子+NHK取材班著『脱炭素革命への挑戦』。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、NHKスペシャルなどの番組を担当してきた著者が、取材内容をまとめたものといえる。感想としてAmazonにある2件の書評をそのまま引用することにしよう。

「これまで脱炭素に関する本は色々読んできたが、これほど中身の濃い本は他にない。圧倒的な情報量だ。NHKスペシャルのプロデューサーでもある著者が、長年にわたって気候変動や再生エネ、環境問題などの取材を真摯に続けてきたことが非常によく伝わる渾身の一冊。この本を読んでおけば、脱炭素に関する最新情報を体系的に理解できる。しかも、誰が読んでも分かりやすい平易な文章で書かれていて、読みやすい。あっという間に読破してしまった。しばらくはこの本が脱炭素のバイブルとなりそうだ!」

「脱炭素やサスティナビリティ、生物多様性など世界共通の課題について、世界の取り組みと日本の現状を豊富な取材から非常にわかりやすく知ることができます。今すぐ変わらないと間に合わないという、筆者の危機感が伝わり、自らもすぐに行動したくなりました。環境問題に興味がある方はもちろんのこと、一人でも多くの人に読んでほしいと思う素晴らしい内容でした。」

 地球温暖化が課題として広く取り上げられるようになったのは、1997年の京都議定書が締結されてからなのだろう。インターネットが普及しはじめたころである。その年に生まれた子供は今年25歳になる。2005年にはクールビズという言葉が生まれ、冷房のための電力を節約することが求められた。また、2011年からは温暖化防止に有効とされた原子力エネルギーに対しても否定的な動きが出てきていることは周知のとおりである。

感受性の強い20歳までにそのような時代の流れを経験している世代と、その前の世代では感覚が違っているのではないか。それはインターネットに対する感覚と重なるようにも思われる。

若い世代は脱炭素の視点から、その感覚を上の世代に伝えるようにしてほしい。地球温暖化をもたらしたライフスタイルを批判的に見ていくことが、待ったなしのカーボンニュートラル実現に向けて必要だろうし、そうでないと、関連する新しい規制などの世の中の動きに不安を感じることになるかもしれない。

 

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