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アフガニスタン情勢ー2(2021-8-21)

友人によるアフガニスタン情勢分析、その2回目を掲載する。

それにしても、中国が随分関与して来そうで興味が持たれますね。中国は前から中央アジアには進出しようとしていましたが、元々中央アジアの人は歴史的経緯から中国が嫌いですし(侵略的と見ている)、加えてイスラム教徒は無神論者(中国のような共産主義者は無神論者と考えている)をキリスト教徒のような異教徒や仏教徒(偶像崇拝主義者)など以上に嫌います。ですから、中国が進出しようとしても、そう簡単ではないかも知れません。加えて、この地域は、ロシアにとれば旧支配地域ですし、インドもパキスタンとの関係で関心があり、他の中央アジア
諸国も地域が特定国に支配されるのは好まず、米国も中央アジアの中心地域として取っ掛かりの維持を図るでしょうからどうなる事やら。

アフガニスタンの地域は、昔より野蛮な勢力が跋扈する山岳地帯で外部勢力には平定出来ない地域と見られていましたが、歴史上モンゴル帝国には平定されています(イル・ハン国、チャガタイ・ハン国)。モンゴル侵攻時、中東地域は、マルコポーロが東方見聞録に書いた「山の老人」率いる暗殺教団が暗殺つまり現代で言えばテロを駆使して絶大なる権力を奮い、十字軍、諸侯とも長い間対抗できないでいたところ(イスマイリ派のにザール分派。イラン北部山岳地帯に本拠を構え、彼らの活動がハッシシやアサシンの語源となった言われる)、現地に到来したモンゴル軍は「山の老人」の事を聞き、暗殺手段を不正義として、一気に平定してしまいました。

皆殺にしてしまったと言う説と住民を離反させたと言う説とがあります。テロを政治手段として猛威を奮い、他の勢力がこれを平定できずに手をこまねいている状況は、何となく現代のイスラム過激派の跋扈と似ています。勿論、モンゴルと中国は異なりますが、東アジア人が猛威を奮ったテロ集団を現地の経緯や相互関係に拘らず一気に平定し、地域を支配した歴史はあると言う事です。つまり、中国がこの地域に支配を及ぼしたとしても歴史的には不思議なことではありません。

ただ、一方で、米国やロシアが再介入して来る可能性があるかもしれません(内乱時CIAはウズベキスタン経由で北部同盟を支援しました)。また、中央アジア諸国など周辺国が特定国や勢力による完全支配を牽制する為米国やドイツあるいロシアのプレゼンスを求める可能性もあります。また、トルコも汎トルコ主義で関わろうとするかも知れません。タジクはイラン系ですが、イランはどうしますかね。状況によつては、再び内乱となる惧れもあります。

今後の推移が興味が持たれますが、タリバンの指導部の思想、タリバンがどの程度組織化され、統率が保たれているのか、かつての北部同盟やハザラ部族との折り合い、アルカイダやIS、パキスタンでタリバンを名乗る勢力(実質テロ集団)との関係などがタリバン政権がアフガニスタンの国としての一体性を保てるか、政府として統治能力があるのかを知る上での指標となりましょう。

 

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