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2021年5月

駒場インターネットクラブを振り返る(2021-5-17)

2002年3月から2012年6月まで、駒場住区センターを会場とし、駒場インターネットクラブがパソコン塾と称してパソコンとインターネットの利用についての相談を受けていた。日曜日に月2回の頻度だったろうか。当初は無料であったが、会場費は負担してもらおうということで1回300円をいただくことにしていた。

 相談相手になったボランティアは10年間で延べ8人。最長老は1941年の真珠湾攻撃に参戦した空母に乗っていた元海軍士官で、コンピューターの初期の時期からかかわっていたという人物であった。スタート時でも60歳以上が相談員の主体で、高齢者のニーズを理解した対応ができていたと思う。

 多い年で年間約200人の相談者のあったパソコン塾であったが、スマートフォンの登場によるニーズの変化と、ボランティアの高齢化により活動を終了した。

 あれから9年。今のニーズは何だろうか、と考えると、Wi-FiLINEZoomというところか。メールすらあきらめている人にはYou Tubeを勧めるかも知れない。テレビ画面でYouTubeを楽しむことも、アタッチメントをWi-Fi接続することで可能なのだから。

 そして何よりも、デジタル社会とどう付き合うか、ということの話し合いになるだろう。デジタル社会になってほしくないと思っていた人たちの気持ちが「デジタル敗戦」をもたらしたといえるだろうし、それを繰り返してはならないのだから。

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シルバーDX人材はボランティアで(2021-5-16)

デジタル社会形成基本法の成立は、それにより廃止されるIT基本法が、20年前に施行されてからのことを思い出させる。1990年代後半のIT革命の衝撃だろうか、2000年代前半には、インターネットの活用ということで、世の中で広く話題になっていた。とはいえ、その後もアナログ・デジタル併存で、FAX利用などからの切り替えも進まなかった。

 そんな中、2002年に駒場インターネットクラブが発足し、高齢者によるボランティア活動により、近隣の方に当初は無償でパソコンを教える活動をはじめた。似たような動きは各地でも見られた。

 それから20年たって、情報機器の主役がパソコンからスマホになり、インターネットの利用が飛躍的に伸びたものの、社会のデジタル化の進展は、世界から見ると遅れてしまったとされる。デジタル化しなくても問題ないような社会の設計になっていて、国民の大勢はそれに不便を感じなかったからであろう。公共施設の予約をオンラインでするようになった時も反発の方が多かったかも知れない。

 昨年12月に経済産業省は企業を対象とする「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート2」を、総務省は「自治体DX推進計画概要」と題する報告書を発表している。

経産省は企業にDX人材、総務省は自治体にデジタル人材を必要とするのだが、経産省はDX人材を次のように定義している。

・・・自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材。

 総務省の管轄となる地方自治体は、企業とは違い、「実現に向けた明確なビジョンを描くことができる」のは国全体でのこということになるのか。自治体ごとにシステムがバラバラではまずいので、DX人材ではなくデジタル人材ということになるのだろう。とはいえ、住民からすれば、デジタル化によりどのような自分の地域の行政手続きが変えられるのか、あるいは変えるべきかは知っておいた方よい。

 総務省予算として、地域デジタル社会形成に向けての予算がつけられている。

「デジタル化によるメリットを享受できる地域社会のデジタル化を集中的に推進するため、新たに「地域デジタル社会推進費(仮称)」2000億円を計上(20212022年度 うち、道府県分800億円程度、市町村分 1,200億円程度)」という内容。

 予算の執行については、IT基本法により、2001年から税金を使った成果の反省を踏まえるべきであり、その経過を見て来たシルバー世代が、ボランティアで基礎自治体の議員に提言していくとよいだろう。シルバー世代にはデジタル技術に30年以上前から親しんでいる人も多いし、自治体の課題に詳しい人もいる。有償で委託するとなると手続きなどの手間がかかるし、対価があるとその多寡が気になるものである。オンラインでできることだから交通費もいらず、予算は不要である。

 そんなシルバーDX人材は自治体の議員が集めればよい。ボランティアが複数の議員に提言するのもありだろうし、ボランティア同士で意見交換するのもよい。

 2001年にはLINEZoomもブログすらなかった。情報技術は進んでも、その活用ができないために、享受できるはずの恩恵が受けられない。行政に提出しなければならない申請書など、合理化要請はこまめにしていくようにしたい。

 現在のやり方を変えることは面倒だろうが、長い目で見て、これ以上引き延ばせないものが多い。会議室を使わなくてもできるオンライン会議などで、課題の共有ができるようになったことの意義は大きい。

 デジタルデバイドを避けたいということが優先される余り、これまで情報化が遅れて来たとも思われる。地域住民の声を集約するのは、選挙で選ばれた議員の仕事である。議員がアナログな人たちと、デジタルな人たちの通訳ができるようになるのもよいかも知れない。

 いずれにしても2025年までには結果を出さなければならない。その進捗状況を公開し、評価する体制も必要であろう。報酬つきの有識者会議は、議員のチームからの意見を踏まえたものであってほしい。

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デジタル社会形成基本法の成立で(2021-5-15)

2001年にIT基本法が施行され、それから20年経った今月の12日、デジタル社会形成基本法が成立した。9月1日からの施行となり、それと同時にIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)は廃止される。

保健所のデータ集約や給付金の支給など、コロナ禍での対応のまずさが「デジタル敗戦」として見られ、データ庁を創設してこれまでの行政サービスの見直しが行われるわけである。

 2001年の「e-Japan戦略」や2013年の「世界最先端IT国家創造宣言」と政府はデジタル化の推進を図ってきたのであるが、そこに対する国民の期待が乏しかったことが、世界から見て遅れてしまったという事態を招いたとみられている。縦割り行政の弊害もあったのだろうが、それにしてものことである。

 国民の期待というのは、まず住民としての行政サービスへの期待であり、基礎自治体に対する要望が強くなかったということではないか。例えば、目黒区では電話とFAXによる行政サービスへの申し込みが、電子メールやLINEの普及にもかかわらず基本であったのが、今回の新型コロナウイルスワクチン接種の申し込みについてはようやくLINEまたはコールセンターへの電話での受付となったばかりだ。

 この20年を振り返ると、何が日本のデジタル敗戦をもたらしたが見えてくるかも知れない。結局、すべてデジタル化することは、これまでのやり方を変えることになるので、それが面倒だし金もかかる。そして何よりも、通常、電話でコミュニケーションをし、紙に書類に慣れている人たちが、デジタル化への抵抗があったからであろう。

 かつて、情報弱者という言葉があった。パソコンを使えないでインターネットの情報を得られない人、という意味である。一方で、インターネットの情報は偏っている。やっぱり新聞でしょう、と、今でも信じている高齢者は多い。オンライン振込をしているのは何歳以下から普通なのか、ということも興味深い。

 それでもスマホは高齢者にも普及しはじめている。しかし、デジタル機器の使用と、その活用レベルは一様ではない。高齢者はプライドがあっていろいろ聞けないということもあるようだ。

 国の存亡がかかっているといっても大げさではないのだろうが、デジタルは目に見えないものだけに、その意味が分かりにくいことが課題である。

 

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