地域防災を考えるために(19-12-20)
9月に発表された総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査結果」によると、東京都の住宅に占める集合住宅の比率は71%となっている。駒場地域についても、淡島通沿いの様子を見るなどすると、概ねその数字の近辺と理解してよいのではないか。町会加入率もそのあたりのことを勘案してよいのだろう。
とはいえ、地域防災体制は集合住宅の比率を反映しているとはいいがたい。町会役員で集合住宅の住民は例外的ともいえる。町会加入を呼び掛けてはいるが、集合住宅で管理費を払っている住民が町会加入の意義をどの程度理解できるものかどうか。
行政は町会が機能していることを期待している。自助・共助は地域社会としての課題であり、町会組織がその役割を果たさなければならないと、これまであたりまえのように考えられてきた。
しかし、そこに集合住宅の住民がどう関わるかについてのモデルケースがあるのだろうか。集合住宅の自治会がそこでのコミュニティを形成しているとしても、その周辺地域との関わりがどの程度の深さでできるものか。
地域防災体制は、この地域においては避難所運営協議会がどう機能しているかということにつきるだろう。しかしその中に集合住宅住民は入っていないのが現実である。
一方、集合住宅のコミュニティは管理組合という形である。総会も行われている。町会は歴史があり、行政からも見えるが、管理組合は見えたとしても例外だろう。町会といっても基本はご近所づきあい。その範囲を超える規模の町会となると目に見えないものとなっても仕方ない。
同じ集合住宅でさえ、隣の人のことが分からないこともあるのに、共助などほど遠い。町会の新年会などには消防、警察、区議会議員が顔を出すが、そこで顔を合わせるのは町会役員。そこには、おそらくその地域で多数派となっている集合住宅住民はいない。
そんな集合住宅住民にどうアプローチしたらよいのか、行政も議員も図りかねているのかも知れない。それでも管理組合という組織はあるのだから、そこへの働きかけをすることもなんらかのきっかけになるのではないか。町会、商店会が地域社会の主体であったのは、昭和までのことだったといってもよいかもしれないのである。