「令和」と大伴旅人 (19-4-8)
駒場で月1回、夜に開催されている万葉集の勉強会では、2月から大伴旅人を学んでいる。3月は巻五-794番歌の日本挽歌一首。4月には同じ巻五815~846の「梅花歌三十二首」が予定されていたとしてもおかしくない。その「梅花歌三十二首」の序に新しい年号「令和」の典拠として挙げられた「干時初春令月 気淑風和」の句があるのは何という偶然だろうか。
その「令和」について、万葉集の研究者である東大駒場キャンパスの品田悦一教授が、雑誌『短歌研究』に緊急寄稿していて、その原稿がインターネットで流出したのか、させたのか。これも偶然のことながら読むことができた。
寄稿文によると、「梅花歌三十二首」には、旅人が信頼していた左大臣長屋王が、藤原氏の画策による冤罪で処刑されたことに対する旅人の怒りが込められているという。
そこに込められたメッセージは、<権力者の横暴を許さないし、忘れない>ということであるので、そのようなテキストを新年号の典拠としたことは迂闊で、不勉強であったというのが品田教授の意見なのである。
4月の万葉集勉強会が楽しみである。
追記:27日夜の会では、品田教授の論に対する異論で、梅花の宴が権力批判につながるとするのは無理がある、と具体的事実により説明された。論文も準備されたとのことである。令和をめぐる論争として、記憶されるようになるとよいのだが。(4月28日)
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