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スポーツ先端科学研究拠点の開設(2016-6-5)

駒場キャンパスで6月4日、東京大学スポーツ先端科学研究拠点開設記念シンポジウムが開催された。1993年から毎年開催されている身体運動科学シンポジウムの第24回目ということである。

挨拶は、主催者として駒場キャンパスのトップである大学院総合文化研究科長、スポーツ先端科学研究拠点長と東大総長が東大側から。来賓としての挨拶は東京オリンピックパラリンピック大臣、文部科学大臣、日本スポーツ振興センター理事長といった豪華な顔ぶれ。

これに対して会場は1935年に作られた旧制第一高等学校の講堂であった古い建物。パネルディスカッションでモデレーターを務めた野球部OBでプロ野球選手ともなった小林至江戸川大学教授は、舛添知事が東大で教えていた頃授業を受け、この教室で試験を受けて落第して以来だとの思い出話を披露した。タイミングがタイミングだけに、本当なのかどうかはわからない。

10年ほど前になるのか、エレキの神様寺内タケシがこの教室で主として高校生のための演奏会をやり、「こんな場所でやったことはない!」とあきれていたことを思い出す。今日はパラリンピック射撃の日本代表田口亜希さんの登壇がレンタル機器で行われたことで、設備の不備を大臣が指摘するほどであった。このシンポジウムは例年は新しい会場で開催しているのだが、大勢の参加者を収容するためか。それともそろそろ建て替えを、という暗黙のメッセージなのか。講堂機能を併せ持つ体育館の構想があってもおかしくない。

それはともかく、この研究拠点ができたのは超党派の議員による議員立法であるスポーツ基本法が、平成23年6月に成立したことが背景にあるらしい。その法律の前文が設立趣旨を説明しているようなので、全文をそのまま転記する。

「スポーツは、世界共通の人類の文化である。
 スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり、今日、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない。
 スポーツは、次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育む等人格の形成に大きな影響を及ぼすものである。
 また、スポーツは、人と人との交流及び地域と地域との交流を促進し、地域の一体感や活力を醸成するものであり、人間関係の希薄化等の問題を抱える地域社会の再生に寄与するものである。さらに、スポーツは、心身の健康の保持増進にも重要な役割を果たすものであり、健康で活力に満ちた長寿社会の実現に不可欠である。
 スポーツ選手の不断の努力は、人間の可能性の極限を追求する有意義な営みであり、こうした努力に基づく国際競技大会における日本人選手の活躍は、国民に誇りと喜び、夢と感動を与え、国民のスポーツへの関心を高めるものである。これらを通じて、スポーツは、我が国社会に活力を生み出し、国民経済の発展に広く寄与するものである。また、スポーツの国際的な交流や貢献が、国際相互理解を促進し、国際平和に大きく貢献するなど、スポーツは、我が国の国際的地位の向上にも極めて重要な役割を果たすものである。
 そして、地域におけるスポーツを推進する中から優れたスポーツ選手が育まれ、そのスポーツ選手が地域におけるスポーツの推進に寄与することは、スポーツに係る多様な主体の連携と協働による我が国のスポーツの発展を支える好循環をもたらすものである。
このような国民生活における多面にわたるスポーツの果たす役割の重要性に鑑み、スポーツ立国を実現することは、二十一世紀の我が国の発展のために不可欠な重要課題である。
 ここに、スポーツ立国の実現を目指し、国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。」

スポーツ先端科学拠点の機能として分かりやすいのは、次の社会的課題に対するものだということである。
○健康寿命延伸
○高齢者QOL向上
○スポーツ障害予防・治療・リハビリテーション
○2020東京五輪パラリンピックへの貢献
○トップアスリートの競技力向上と科学的サポート

特に社会のバリアフリー化という広い見地から、パラリンピアンへの支援に力を注ぐということは、技術開発の目に見える短期目標にしやすいといえる。

東大総長の立場からすると、これほど学内の同意が得やすかったものはなかったそうで、スポーツに関する研究が、人間のさまざまな機能の研究に結びつくからなのだろう。
文部科学大臣は午前中に駒場キャンパスのある目黒区長に会ったとのこと。目黒区がスポーツ先端科学拠点になるのだという言い方もできるのかも知れない。

160604


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