「おっぱい大サーカス」を見て考えた(2016-5-20)
最近世の中で話題の中心のようになっている舛添東京都知事が、今月はじめに「東京の「夜」はいつからこんなに寂しくなったのか?」と題した小論を書いている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48588
その一節に以下に引用する文がある。
「先日、ニューヨークで久しぶりにブロードウェイに行ったが、この賑わいが東京にはない。それが、わが東京のナイトライフを寂しいものにしている。世界中の天才たちが集まり、最高のパフォーマンスを見せるべき箱物(劇場、オペラハウス、コンサートホールなど)が必要である。そして、演ずべき芝居や音楽を創造する才能と、それを商業ベースに乗せる才覚を身につけてた人々、つまりソフトの充実が不可欠である。」
箱物が必要ということなのだがそんな実感はない。そして「演ずべき芝居や音楽を創造する才能と、それを商業ベースに乗せる才覚を身につけてた人々」が不足しているのかどうか。
不足しているのはライブパフォーマンスを気軽に見に行くライフスタイルなのではないか。最近のことはよく知らないが、日本では経済的に余裕があったり、会社の経費を使ったりするときには、キャバクラとかカラオケで歌わせる店で夜の時間を過ごす人が多かったような気がする。最高のパフォーマンスの裾野ともいえる部分への需要が、ニューヨーク、パリ、ロンドンと比べて圧倒的に少ないことは否定できまい。
ライブパフォーマンスへの関心を多くの人がもち、そこにお金が流れることで優れた才能が伸びる機会が生まれるのではないか。ライブパフォーマンスの情報に接するには積極的に探す必要がある。しかし、まずは手近なところで予備知識なしでも、試しに入って見るということでよい。東京ならエリアごとにいくらでもそんな店はある。
たとえば渋谷地区であればサラヴァ東京。Bunkamura横の交差点を渡ったファミリーマートの地下にある。パリで1966年にピエール・バルーがはじめ「才能の実験室」「ジャンルを超えた発見の場」と言われていたというSARAVAHの日本での展開の場なのである。
中でも、毎週月曜日に開催されるシャンソンコンサートと、第3木曜日のセクシー大サーカス、おっぱい大サーカスはサラヴァ東京らしさがあるのだろう。飲食をしながら出演者と共に楽しむ雰囲気は寄席というより昔のキャバレーなのだろうか。
客席は40席ほどか。若い女性客が多かったが、あらゆる年代の男女が楽しめるライブパフォーマンスといえる。値段も手頃だし、出演者もいろいろだから、楽しめること間違いない。
19日の「おっぱい大サーカス」には紫ベビードールというバーレスク(往年の浅草オペラ、日劇ミュージックホールの系譜)の日本におけるトップダンサーの出演もあり、これからの日本でのライブエンターテイメント復活への期待を膨らませた。
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