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瀬戸内海国立公園の魅力(2015-10-21)

日本には32もの国立公園がある。その中で一番規模の大きいのは9県にまたがる瀬戸内海国立公園。昭和9年(1934年)日本で最初に指定された3か所の国立公園の一つとして、雲仙国立公園、霧島国立公園と共に指定された。同年には、阿蘇・大雪山・日光・中部山岳の国立公園も指定されているが、瀬戸内海国立公園が早くからその重要性が認められていたことを示すものだろう。

とはいえ、大きくて歴史のある瀬戸内海国立公園の範囲は広すぎるほど。東は六甲山から西は関門海峡までに至る無数ともいえる島々と沿岸の自然をカバーする。観光地として知られる場所は宮島厳島神社、小豆島、しまなみ海道など数えきれないほどあって一つの国立公園といってよいものか。

それら瀬戸内海の観光スポットの中でも笠戸島を知る人は限られる。場所は山口県の下松(くだまつ)市。山陽新幹線では徳山駅が近い。国立公園として保護されているものの、観光スポットとして旅行会社がアピールすることがあるのかどうかというレベル。

観光の拠点となるのは笠戸島ハイツ。黒川紀章の設計で1975年の竣工。40年前の建物とは思えないほど現代的である。何よりもロケーションが素晴らしい。波静かというより、波のない海がプライベートビーチのように目の前に広がる。これほど周囲に気になる建物がないホテルは日本では珍しいのではないかとも思われる。

海岸に降りると海上を歩く遊歩道がある。波のない透き通る海に心が癒される。波がないから防波堤がなく、道路は水際のはるか上を走る。

対岸には日立製作所、JX日鉱日石エネルギー、東洋鋼鈑といった企業の広大な事業所が続いているが、はるかかなたの灯りでしかない。といってもその距離は歩けないこともないというほど。市街地から遠くはないのである。

海に浮かぶ灯りのない暗い山影に沈む夕日は、圧倒させるような美しさ。夕焼けの海を真っ暗になるまで見守る。筆舌につくしがたい眺めというしかない。

瀬戸内海の島々にどのような観光資源があるのか、その全貌は未知といってもよいほどであろう。何しろ9つもの県に分かれているのだから、観光客の奪い合いともなる。しかし、それらをつなぎ合わせて、島を連泊できるコースが考えられないものなのか。エーゲ海の島々のように、瀬戸内海の島々も船旅の演出によって世界からの観光客を魅了するようになることは夢でしかないのか。

○高台にあるのが笠戸島ハイツ。遊歩道のある海岸を独り占めできる。
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○山上にある笠戸島家族旅行村からの眺め。海上の遊歩道が見える。
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○右側に見える赤い屋根の建物が笠戸島ハイツ。対岸には大規模な工場が。
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○夕日を眺めるポイントから。
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○笠戸島ハイツからの夕景。
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