IT革命の現在(14-5-22)
IT革命が流行語大賞をとったのは2000年。その年にはコンピューターの2000年問題という大騒ぎがあって社会問題ともなった。それから14年たった今、産業革命が一挙に進んだわけではないように、「革命」のあったことを余り気にすることなく生活はできているのではないか。特に行政は「革命」により不利益を被ることがないように最大の配慮をしているというべきだろう。
では、IT革命とは具体的にどういうことだったのか。
IT革命により変わったこととして、世界中無料電話が映像付きでできるようになっている一方、国内の固定電話が割高になっていることや電話での通話の機会が減っていることもあるだろう。手紙やハガキのやりとりが減っていることはいうまでもない。携帯電話の普及や電話だけでない多くの機能を持つようになっていることも、2000年時点と比べると革命的といえそうである。
さらに、インターネットで買い物ができる、金融取引ができる、といったことでも、必ずしも本質的なことではなかろう。もちろん、そのことにより、仕事の進め方が変わり、仕事内容も変わってはいるのだろうが、世の中を新聞やテレビで見ている限りは、30年前とどこが変わったのかが見えにくいのではないか。
人類史上での「革命」といえるのは、世界中のテキスト、映像、写真、音声の情報に誰もが無料でアクセスでき、共有できるところにある。もちろん言葉の壁というのがあるけれども、それもたとえば、日本語版の海外ニュースサイトに見られるような形で超えられている。音楽演奏やドキュメンタリー映像も、年代や国境を意識することなく閲覧できるわけで、テレビ番組との視聴時間の奪い合いとなる。
紙の新聞やテレビの事業としての将来を見ることが難しい中、その広告媒体としての価値が問われるようになり、情報ビジネスが大きく変わることは予測できる。
また、IT革命のグローバルな側面は理解されやすいが、対象が小さすぎて採算がとれなかった地域情報が、ハイパーローカルメディアという言葉はあるもののまだ成功事例に乏しいため、これからの分野としてある。IT革命の核心は、地域社会がその中と同時に世界ともインターネットでつながることにあるといえないだろうか。
5月24日追記
IT革命の現場で活躍されている松本徹三さんが今日のツイッターでこんなことを書いていた。
「私が期待しているIT革命の効用は
1)生産性の向上(生活必需品のコスト低減と労働者の余暇の拡大)
2)精神生活の質の向上(無制限な物質的欲求の拡大の抑制)
3)民主主義体制の成熟(Informed Consensus形成の促進)
の三点です。
これは先進国でも途上国でも同じ事」と。
革命はこれからはじまるということだろう。
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