明治維新150周年に向けて(14-3-29)
2018年の明治維新150周年に、日本で世界の諸革命を比較する国際研究会を開きたい。そんな思いが込められているのが昨年夏に出版された『愛国・革命・民主』である。著者は東大駒場キャンパスの三谷博教授。2002年から駒場キャンパスではじまった公開講座「高校生のための金曜特別講座」で司会をされているので、この地域ではおなじみ?の先生でもある。
『愛国・革命・民主』は2011年10月から11月に、6回にわたって世田谷市民大学で行われた連続講義に加筆修正を加えてまとめられたものであり、副題は「日本史から世界を考える」となっている。6回の講義が2回ずつ愛国(ナショナリズム)、革命(明治維新)、民主(幕末から明治にかけての公論空間)というテーマで構成されているが、そこには一貫して世界史の中での明治維新を考える姿勢が見られる。愛国・革命・民主という、世界の国々に共通する課題から明治維新をどう評価するかということになるのである。
三谷教授は19世紀日本・東アジア史を専門とされているが、中国や韓国を意識したのは1990年ごろ、中国や韓国からの留学生の指導をするようになってからという。住む場所と仕事によるとはいえ、一般の日本人の視界に入るようになったのは今世紀に入ってからではないか、との見方もされている。それまで、多くの日本人にとって隣国がヨーロッパやアメリカよりも遠い存在であったということだろう。国際交流というと欧米人との交流をイメージし、国際化が欧米化であったのは明治維新の賜物ということでもあるのだろうか。
今、歴史問題が外交課題となっている中、戦後忘れられたかのような近隣の「忘れえぬ他者」との関係、記憶を複眼的に見ることが必要になっている。そうした意味からも、明治維新150周年をテーマにする国際研究会が駒場キャンパスで開催されることを期待したい。