渋谷駅再開発と東横のれん街(12-9-29)
渋谷駅の再開発が、どのような段取りで進められるのか、当事者はいろいろと検討しているとしても、外からの推測は無意味だろう。それでも推理小説を頭の体操のネタにするよりは、渋谷駅利用者にはおもしろいのではないか。
まず2013年度から東横線のホームの跡地が更地にされて、そこに地上43階・地下6階の超高層ビルの建設がされる。東横線ホームは副都心線とつながる地下ホームに来年3月16日から移るが、その他に移転が必要になるのがホームの下の東横のれん街。2013年4月から渋谷マークシティの地下1階で営業することが発表されている。
東横のれん街は1951年に有名食品店15店を集めた日本初の名店街といわれる。今では60年を超える歴史の重さを感じさせるものは何もなく、JRのあちこちの駅ビルにあるショッピング街と変わりはないのだが、東横線沿線の住民には特別の思いもありそうだ。
東横線の新しい地下駅からマークシティへの道は決して近くない。渋谷川の暗渠があるため、現時点では副都心線の地下5階ホームからマークシティに行くには、一旦地上に出るか、半蔵門線の上の分かりにくい通路を通らなくてはならない。東急東横店の東館の解体工事が始まればなおさら行きにくくなりそうだ。
東横線から直通で、急行なら一駅で行けるようになる新宿3丁目駅からは、高島屋と伊勢丹の食料品売場が地下でつながっている。東横線から渋谷駅で降りる必要は、片道160円という電車賃を別にすれば、乗り換えなどのことがない限り考えにくい。
東横店西館のフードショーと直結するということで、井の頭線や西口からのバス路線沿線の住民には便利になるだろうが、プラスマイナスを考えるとのれん街全体としては苦しそうだ。多店舗展開をするテナントとすれば、賃料に見合えばよいわけだから、東横のれん街自体がどうなろうが、どうでもよいことかも知れない。ただ、歴史ある東横のれん街は、名前が残ったとしても、事実上マークシティ名店街でしかなく、その歴史の重さも失われることになるのだろう。
来年4月に東横のれん街が入るマークシティの地下街