動き出したソーシャル・ビジネス(2012.7.26)
松涛の喫茶店「パブリック松涛」でも商品を販売しているミエ・プロジェクトのDuco Delgorge社長がソーシャルビジネスの必要性についてYouTubeで語っている。デューコさんと呼んでいる社長はオランダ国籍のチェコ生まれ、オーストラリアに家があり松涛でビジネスをしているという国際人だ。
また、アフリカをベースに世界で仕事をしてきた日本人もいて、最近ソーシャルビジネスをやってきたと意識するようになったという。今月出版された佐藤芳之氏の著書『アフリカの奇跡』にそのことが書かれている。個人で活動する2人の国際人がソーシャル・ビジネス志向していることは興味深い。
佐藤芳之氏はケニアでマカデミアナッツの会社を創設し、従業員4千人の規模にまで成長させたが、株主に配当することなく、利益は再投資と従業員還元に回した。日本人を含む従業員には、「自分の職能が見つかった人は、どんどん独立して、自分で仕事をしなさい」ということで会社から出してきた。最後は創業者自身が自らの意思で会社を出ることになった。
佐藤氏の著書には以下のような氏の哲学がちりばめられている。
社会を開発するとに天井を設けておくこと。そうしないと欲望のおもむくまま、際限なしにどこまでも行ってしまう。そうしているうちに土台が腐ってすべてが崩壊してしまう。アフリカでいわれる格言に「心配とは想像力の誤用である」というのがある。心配のベクトルを社会に向け、「社会の心配を除くためなら、この会社なんか潰れてもいいのだ」といえるような経営者が出てこないと、資本主義は継続できない。
かつて一緒に働いてくれた仲間たちの消息は今も知っているが、彼らといったん別れてからは私的な付き合いはない。一杯飲みに行こうと声をかけることも、かけられることもない。
理想の会社の姿とは、きちんと自立した人間が、あるときはAという場所に集合体をつくって事を為し、終われば別れて、今度はBという場所で別の集合体をつくって、というふうに離合集散を繰り返しながら、常にその場で、新しい価値を創造していくというものだと思う。
資本を集中して支配するのではなく、分散させる。出た芽がそれぞれに伸びていくような会社のほうがいい。
志は高く清くもって、目線、すなわち日々の生活態度、財産などは低くする。みんながキラキラした破片になり、それが集まってひとつになり、国とか社会になって大きく輝けばいい。
グローバルなソーシャルビジネスを志向する人たちのネットワークができるとどんなことになるのか。インターネットはそんなネットワークを築くに違いない。
デューコさんのスピーチ
佐藤さんの本
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