続・お爺さんための渋谷ガイド(12-5-6)
百軒店商店街のメインストリートで昼間営業している店はほとんどない。高層ビルの1階に女性が終夜滞在することができる24時間営業のネットカフェが入っていたこともあるが、現在は空室だ。渋谷駅のすぐ近くなのに不思議なほど人が通らない。四方をラブホテルが囲っているので入りにくいということもあるだろう。何で渋谷にこんな場所があるのかと、考えさせるところが魅力でもある。
「ライオン」を出たら右側に進み、突き当たりを左に入り、坂を下りてランブリングストリートに出ずに、すぐまた左へ。そこは昭和の雰囲気そのままの飲食店街となる。宮下公園手前の「のんべい横丁」のような賑わいこそないが、お爺さんには格別の懐かしさがこみ上げてくるにちがいない。昼間営業する店はなく、歩いていくと小さな公園が左側に見つかる。そこで一息つくのもよいかもしれないけれど、「ライオン」を出てからなら、まだ5分もたっていないだろうから先に進む。突き当たりを右に折れると壁にぶつかり、右も左も車の通れない路地だ。左に入ると崖の上から道玄坂に並ぶビルの裏側を見ることになる。人がすれ違うのがやっとという完璧な裏道で、普段の人通りはない。
裏道を出たところは道玄坂から百軒店商店街のアーチをくぐって坂を上がった交差点。コンビニもあって、この裏町では一番にぎやかな場所だ。さっき出てきた「ライオン」が左奥に見える。スケジュールをチェックしていたその日の公演を楽しむ場所も近い。ジャズライブの「Ko-Ko」か、ブルースの「テラプレーン」か、アメリカンロックの「B.Y.G」か。目の前の「道頓堀劇場」なら60歳以上を対象にした割引もあって、お爺さんを特に歓迎してくれるだろう。
でもその前に夕食を。お爺さんならオシャレな店に行くのはやめよう。女子会やお婆さん好みの店ではなく、青春時代を思い出させる店がいい。今立つているその場所には、行列のできる「喜楽」がある。渋谷を代表するラーメン店でメニューも豊富だ。「ムルギー」のカレーで往年の百軒店の思い出に浸るのもよいが、ちょっと変わった人気店は「とりかつ」。カウンター席でボリュームのある揚げ物を食べる店。場所からしてオシャレでないところを楽しめる。
ローソンの裏側の道を左に入ったラブホテルに囲まれた細道を通って東急本店の方に戻ってもよい。東急本店の反対側は多くの飲食店がビルに入っている。蕎麦屋では「越後へぎそば匠」がゆっくりできるが、さっさと済ませるなら「フレッシュネスバーガー」隣の「嵯峨屋」がいい。「スターバックス」や「タリーズ」もあるが、お爺さんが若い頃にはなかったタイプの店だ。「リーミーズ」でカレーを食べ、ジャズのレコードを聴いて時間調整をする手もある。
こちらに来れば「Bunkamura」があるし「サラヴァ東京」でシャンソンなどの公演を楽しむこともできる。お爺さんにはなつかしいかもしれない「銀巴里」や「小劇場渋谷ジャンジャン」の系譜ともなる店だ。映画館も「ユーロスペース」や「シネマヴェーラ」で、名画座で映画を観た時代を思い返すとよい。10時頃には切り上げる。この街はまだ宵の口なのだろうが、お爺さんにはもう十分かもしれない。また来よう、お爺さんのための渋谷へ。
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