文化の揺りかご(12-4-14)
東急本店とBunkamuraは一体となっていて、高級住宅地松涛と渋谷の境界を作っている。その前の道路の反対側にはいくつものビルが並び、さまざまなタイプの飲食店が入居するが、どんな店かを知る人は多くはあるまい。そのビルの裏手にあたる丘の上はラブホテル街の迷宮で方向感覚を失わせる。
Bunkamuraが評価の確立している文化活動の殿堂とすれば、その反対側にサブカルチャーの街があってよい。
いくつものライブハウスや映画美学校ができ、天井桟敷、寺山修司のカルチャーを引き継ぐポスター・ハリス・ギャラリーがあるこのエリアは、既に立派なサブカルチャーの街になっている。そうだと誰もが分かるような街である必要はないとはいえ、新しいアーティストの揺りかごとして知られるようになった方がよいだろう。
新しいアーティストとは日本人だけを指すわけではない。上海、大連、ソウル、ハバロフスク、台北などの都市の人たちも、ここで活動をするようにならないだろうか。利用料や選考の壁のある立派な施設である必要はない。低コストで自由に使えるスペースがあり、しかも交通の便のよいところとなると、渋谷のこのエリアは魅力的だ。吉祥寺、中野、高円寺、下北沢、江古田、池袋、新宿2丁目などと比較して、交通の便と集積効果の上からも優位にある。ギャラリーといえば銀座ということのようだが、それは購買力との関係からか。東アジアのサブカルチャー作品が流通する場としても、渋谷のこのエリアが知られるようになってほしいものだ。
雑居ビルの6階に人知れずあるアートスペースはそんな可能性を秘めている。
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