住居表示の道玄坂(11-11-21)
現在の住所を表す住居表示は、1962年に施行された「住居表示に関する法律」に基づいており、郵便物の配達の利便性を目的としたものだ。行政事務の効率化という面ではそれ以前の地番のわかりにくさを解消したかも知れないが、地域の歴史や住民のアイデンティティはほとんど無視されているといってよい。1200年を超える歴史をもつ京都市が住居表示を使用していないのは、そうした事情の反映だろう。
そんな住居表示が渋谷に適用されてからほぼ半世紀が経過しているが、渋谷の訪問者に対して適切なものと理解されているのだろうか。例えば、道玄坂1丁目と2丁目。地域社会は商店会となるが、渋谷道玄坂商店街振興組合が道玄坂2丁目をカバーする。ただし百軒店商店会は別である。マークシティを挟んで南側になる道玄坂1丁目は、渋谷中央街と渋谷道玄坂商店街振興組合に属す道玄坂上商店会。道玄坂上商店会は道玄坂上交番前交差点から先の道玄坂の両側で、片側の住居表示は円山町となる。
住所というのは、それを見てどのあたりなのかがすぐにイメージできることが望ましい。道玄坂は歴史ある通りの名称であるだけに、道玄坂2丁目だけでなく、文化村通りや道玄坂小路など、面している道路名の表示を自主的にするようにすることが、訪問者に対して親切なのではないか。渋谷は何度も来たくなる街にすることが、商店会の関係者には期待されているだろうから、年に一度のイベントの繰り返しだけではないきめの細かい工夫がほしい。
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