こまばのまつりと伝次平倶楽部(11-10-2)
今日は30回目の「こまばのまつり」が開催された。8月28日のエントリーでも紹介しているが、このイベントは駒場農学校の歴史を背景にもつ。駒場農学校の教官としてドイツから招聘されたオスカー・ケルネルと群馬県の篤農家船津伝次平により作られ、現在もその姿をとどめる「ケルネル田んぼ」が会場の駒場野公園の原点となる。そこに応募者が制作したかかしが展示され、その評価結果を表彰するということが「こまばのまつり」のベースにある。
船津伝次平の出身地である昨年前橋市と合併した旧富士見村では、おそらく駒場との交流を契機として都市農村交流活動を行っていて、6年前に伝次平倶楽部と呼ぶようになった組織ができた。その活動の一つとして、文京区の補助を受け実施している追分通り三面大黒天商栄会の主催する都市農村交流イベントもある。今年は6月に田植え体験やジャガイモ、タマネギ、キャベツ等の収穫作業、サツマイモの苗植え、10月には現地で稲刈りをし、11月13日には文京区追分で恒例の収穫祭を行うということになっている。
これに東大農学部に近い東大の施設、追分ロッジの居住者である外国人研究者6名が参加したとの報告がインターネットでも公開している東京大学学内広報にあり、その事実を知ることができた。北区とも交流事業で関係ができているが、駒場の場合は目黒区との交流事業というよりは、補助金はあるものの地域社会の独自の活動である。それでも区長、区議会議長が挨拶するイベントだから、その重要性は十分理解されているといってよい。オスカー・ケルネルとの関係で、ドイツ大使館からも出席があった。
また、会場で目だったのは復興応援の数多くの大漁旗。3月11日の津波の時に沖に出て難を免れた岩手県山田町の漁船のものを縁があって借用したものだ。つながりの範囲は広がっている。
「こまばのまつり」は、駒場の地域社会による自主的なものではあるが、広い会場にさまざまな団体が参加し、運営にはより多くのサポートの手が求められている。東大教養学部、都立国際高校の学生・生徒、駒場小学校PTAなど多くの協力団体もあるが、写真撮影を含む広報体制なども課題となろう。
いうまでもなく、このブログは広報ではない。一つのコーナーに終始張り付いていた一企画運営参加者の目によるものであり、残念ながら他の現場ほとんど何も見ていないし、取材もできていないのだ。
公式記録をインターネットで速報できる体制ができるよう、関心のある人の参加が期待されている。学生でもよいのかもしれない。

ケルネル田んぼのかかしコンクール

伝次平倶楽部中嶋会長の挨拶

岩手県山田町の大漁旗

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