マークシティは渋谷の縮図(11-7-18)
渋谷の魅力はそれが巨大な迷宮であるということではないか。渋谷は人によって行く場所が違う。自分の行く場所、知っている場所の他は意識の外にしかない街でもある。だから渋谷は分かりにくいということになる。
銀座は街が平面的にどこまでも広がる。新橋、京橋、築地、日比谷とつながっていて、突然景色が変わるということはない。知らない場所はもはや銀座ではないといってもよい。新宿も東口、南口、西口、歌舞伎町とやはり平面的な広がりだ。それぞれがイメージ通りの街並みなのである。六本木も吉祥寺もそれなりに秩序をもっている。街が店の集まりでできていて、あるべき所にあるべき店が配置されているからだろう。
しかし渋谷は違う。起伏に富んだ地形とそれに沿った道路は単なる店の集まりではない街にしてしまう。そんな渋谷の縮図のようなのが渋谷マークシティだ。地下1階から25階まであるのだが、その全体について関心のある人はまずいないだろう。渋谷駅前の4階が道玄坂上では地上階になってしまうという構造で、建物の周囲が雑然としていることも、そこを迷宮とするのに一役買う。渋谷全体がそうであるように、渋谷マークシティはどこに何があるのかという不思議な世界を作っているのだ。
高速バスのターミナルがあることなどは利用者しか気がつかないだろうし、地下の売場に関心のある人も限られよう。1階、2階、3階にどんな店があるのかは、4階を通路として利用している人たちの意識にもほとんどないのではないか。
その3階の一番目立つ場所にひっそりと店を構えるのが、高級チョコレートのデカダンスデュショコラ。オンラインショップ主体なのか、対面の販売店はここだけなのである。東京土産として人気があってもよさそうなのだが、買い物客を見ることはほとんどない。営業的にどうかはともかく、場所のイメージをよくすることには貢献している。
渋谷マークシティだけでも店の配置の観察につきない魅力があるのだから、これが渋谷全体となると、観察の対象が広すぎてわけがわからないことになってしまう。適切なガイドブックが必要だ。
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