円山町の農場協会会館(11-3-30)
円山町のホテル街、ラブブリングストリートから少し入ったところに農場協会会館がある。日浦晃が1952年に結成した「全国高等学校農場協会」の建物で1972年に落成した。日浦は駒場にあった東京農業教育専門学校出身で、都立園芸高校の教頭を経て都立農産高校の校長を勤めた人物である。「全国の農業教員を対象に、勤務の特殊性に基づく農業教員手当創設に伴い、それを推進、運営するための全国組織」として発足したらしい。農場で仕事をする教員の待遇を守ろうとするもので、現在全国に389校、6927名の会員を擁する。
東京農業教育専門学校は現在の駒場野公園の場所にあった東京教育大学農学部の前身で、東京帝国大学農学部が1935年に本郷に移るにあたり、付属の農業教育養成所を独立させたものだ。戦後は東京教育大学農学部となったが1978年3月に廃学された。筑波大学はそのかなりの部分を引き継ぐ形で新設された大学なので、農学部がなく、農業教育が行なわれていないのも不思議ではない。
全国高等学校農場協会は日浦のいた世田谷区深沢の園芸高校内にあったが、1972年に円山町の現在地に移された。駒場の学校を出た日浦が、駒場に近くて交通の便が良いということで決めたのだろうか。渋谷で酒を飲むことも好きだったらしい。
1878年に駒場の土地に農業教育の場として誕生し、数年のうちに16万5千坪の敷地をもっていた駒場農学校は1935年の東京帝大農学部の移転、1978年に東京教育大の廃学により農業教育の場ではなくなった。しかし、駒場農学校であった敷地から多少離れるとはいえ、その門の外1キロ圏に現在も全国の農業教育を取りまとめる組織のあることは記憶に留めたい。
農場協会会館の入り口
農場協会会館の建物のある通りで、正面は百軒店の入り口
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