コミック『大市民日記』(5月8日)
漫画家柳沢きみおの作品『大市民日記』は、90年代に刊行された『大市民』、2002年からからの『THE大市民』に続いて刊行されたマンガで、そのシリーズ最終となる第6巻が今月発行された。大市民シリーズは作家山形鐘一郎を主人公とする、食事の場面を中心として人生のうんちくを繰り返すというもの。世田谷区砧の安アパートを仕事場として一人で生活をしながら、単身者ばかりのアパート住人とのふれあいが描かれる。和服で下駄を履き、パソコンと携帯電話を否定して使わない保守的な生活スタイルを美学とするため、IT長者を徹底的に嫌い名誉毀損になりかねない表現で攻撃したりもする。
どの巻でもビールに手作り料理、そして外食はエキソバと鮨が好みというパターンの中で説法を吠えるというのも特徴。「美味し」といって食べたり飲んだりするので、そこで紹介された料理を集めたものも刊行されている。手作り料理の中で頻出するのは白菜鍋。豚バラと白菜を重ねて煮るという簡単な料理だ。一人暮らしの男性の生活のヒントとして人気があるのかも知れない。
その時代の経済状況と、砧という東京の住宅地での生活感を反映させているため、フィクションとはいえ近所の日常のような身近さがある。
「健康で仕事もあった。これはとても幸せなことなんだ」「美味し- 来年も頑張るぞ!」でこのシリーズは終わる。その時2009年、主人公山形鐘一郎61歳という設定だ。最後には山形が56歳、57歳の時点で語った「大市民の美学」が付録のようにして掲載されている。料理書としても、また簡単な食事を楽しむヒントにもなるシリーズだ。
ちなみに、作者の柳沢きみお氏は『週刊新潮』で連載エッセイ「なんだかなァ人生」をスタートした。
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