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昭和の日(4月22日)

4月29日は昭和時代には天皇誕生日であった。それが平成になってみどりの日となり、2007年から昭和の日と呼ばれるようになった。だが、その日にどのような意味があるとうことよりも、ゴールデンウィークの初日ということで、ニュースでの道路の混雑や飛行場の映像が印象づけられていないだろうか。
祝日法では「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日と定義している。昭和時代は、出征、被爆、占領、復興、高度成長という、まさに激動の時代であったことは、平成20年間の歴史と比較すると明らかである。昭和時代を考えることの価値は大きいにも関わらず、歴史認識の問題もあってか、残念ながら学校教育の場でその歴史は十分に伝えられていないようだ。
昭和という時代は政治や経済が激動しただけではない。文明そのものが根底から変化したといってよい。その変化を嘆くものではないとしても、何が変わったのかということは、伝えられなくてはならないだろう。昭和という時代は日本人が過去2千年以上の生活様式をほぼ完全に消し去った時代でもあるのだから。
過去2千年の生活様式は農業を基本とする生活だった。いうまでもなく、その農業は現在のそれとは違う。農作業の道具が違うし、農家は肥料となる人糞を買っていた。馬や牛と共同生活をし、その糞が道に散らかっていた。農業の変化や、移動手段は徒歩が基本というのがそうではなくなったのも昭和だろうし、電気、ガス、水道もまだ一部にしかなかった。木や炭が燃料であった。冷蔵庫も洗濯機もなかった。病院も完備せず、お産も自宅でするのが普通だったのが昭和の前半だ。舗装された道路も木造でない建物も例外的だった。ノミ、蚊、ハエなどの昆虫は、平成生まれの若者には理解もできない存在かもしれない。
昭和30年代で、農村を基本とする社会が消滅したが、その時代を記憶する人たちは、社会の第一線で活躍している人たちを含め、現在存命なのだ。しかし、その記憶を若い世代と共有できているのだろうか。各地にある歴史資料館はその記憶を記録する役割も担っているようではあるが。昭和の日には交通機関を使わずに中目黒にあるめぐろ歴史資料館を訪れたりして、常識となっている現在の生活様式をリセットして、2千年の歴史とつながる昭和の意味を考えることもよいだろう。平成から見た江戸時代は時代劇の世界でしかないが、昭和はまちがいなく江戸の生活の延長の上にあったのだ。

めぐろ歴史資料館展示
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桶は人糞を運んだもの
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