新しい公共(4月18日)
「新しい公共」という言葉が政府から発信されている。公の担い手の多くが役所であり税金であったものを、より民間の力を活用していこうとするものと理解している。わかりやすい言葉なのだが、具体的な新基軸が出てくるのかどうかはこれからの課題だ。
これについて、松井官房副長官はツイッターでこんな発言をしている。
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「新しい公共」で個人的にやりたいことは、官による国土の均衡ある発展(しかもコンクリート中心)から、社会の中で人間が孤立せず、居場所と出番を見出せる、そんな社会に重点を移すことです。人間を取り巻く環境にはもちろん国土もあります。だから国土の均衡ある発展を否定するわけではありません。でもそれ以上に、教育環境、文化環境、医療や社会保障環境の不均衡の是正が今の急務だと思います。しかし財政の逼迫もあり(財政的な理由ばかりではなく社会のあり方としても)中央の官でそれらの是正はしょいきれないし、官だけが背負うべきものでもない。地域の民の力でそうした不均衡をどのように是正していくかが課題だと思います。
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それを具体的にどう実現していくのかということで円卓会議が始まっている。これについては、これまでも社会起業家などの名称で少なからぬ数のモデル事業の報告がされているので、その実績も踏まえてほしい。また、地域社会では、消防団や自主防災組織がそれこそ江戸時代から活動しているし、「社会の中で人間が孤立せず、居場所と出番を見出せる」ことが難しくなったのは最近のことといってもよいのではないか。50年前までは、地域社会に縛られて不自由ながらも居場所と出番が確保されていたのが、そこから人々が脱出するようになって、当然ながら地域社会に居場所を失ったともいえるのだ。所属する組織を別にすれば、テレビに映る世界が居場所になってしまった。その結果、たとえば、地域社会で消防団と自主防災組織の違いを知っているのは、当事者と役所関係者だけということにもなっている。町会、商店会などの果たしている役割も再評価されなくてはならない。
「新しい公共」の具体的イメージとなりそうなものとしては、渋谷百軒店で活動をはじめた特定非営利法人BONDプロジェクトがあり、5月9日には百軒店Cafe MELTで対談イベントが開催される。
http://www.bondproject.jp/
いずれにしても、「新しい公共」を実現するには、テレビの中の世界に安息の居場所を見出している人たちを現実の社会に引き戻すことから始めなくてはならないのではない、と考えるのは極論だろうか。
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