フジヤマ・ゲイシャ(1月31日)
明治維新以来、日本は近代的な工業国であることをアピールする必要があった。そのため欧米人のフジヤマ・ゲイシャのイメージを払拭するための努力がされ、そうしたイメージをもたれることに対して日本人は不快感を覚えたものだ。ただ、富士山は雪のあることが工業国のイメージを演出するのにふさわしいとのことで海外広報に活用され、富士山を背景にした新幹線の写真がその典型となった。
一方で芸者の方は、消え行く文化とでもいえそうな状態なのだが、外国人にはゲイシャの国日本というイメージは強いらしい。グーグルで外国語ごとの検索条件をつけgeishaと検索するとその外国語圏での関心の度合いが分かるといえそうだ。外国語ごとに、想像する以上にゲイシャについての多くの紹介記事と映像まである。
フジヤマ・ゲイシャが日本のイメージになった理由としては、浮世絵がその原因にある可能性が大きい。幕末から明治にかけて大量の浮世絵が海外に流出し、ヨーロッパの絵画に大きな影響を与えたことはよく知られている。浮世絵の美人画がゲイシャとみなされ、北斎の富士山と共に日本の象徴となった。だから近代工業国としてのイメージに反する浮世絵とその背景にある世界は日本の学校教育のレベルで140年間否定され、むしろ外国人による研究が進んだのだ。
しかし現在の日本は、フジヤマ・ゲイシャのイメージを遠ざける必要がなくなってきている。浮世絵を見直し、新しい日本のアイデンティティを考えてもよいのかもしれない。円山町に浮世絵の世界を作るということがあってもよさそうだ。2人の芸者さんが現在も活動されていることだし。
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コメント
こんにちは。海外在で、丁度、こちらのTVのゲイシャレポートを頼まれ、専門外なのに引き受けてしまい、京都へ行くことになりそうです。困り果てて、浮世絵の美人画やジャポニズム、舞踊、邦楽を読むうちに、ブログを拝見させていただきました。今後も、参考にさせて下さい。フジヤマ・ゲイシャ・スシのピークにありますので、イメージ払拭の方向には行かないようです。
投稿: mk | 2013年1月19日 (土) 18時06分
コメントありがとうございます。最近は芸者文化を残す努力が行なわれていますが、採算面ではむずかしいような気もします。外国人向けの観光資源となればよいのかも知れませんね。
投稿: | 2013年1月20日 (日) 20時23分