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玉の井と百軒店(1月13日)

きのう隅田川七福神巡りをしている途中、「ここら辺はかつて玉の井というところだった」との声が聞こえてきた。いわれてみると、隅田川の東は永井荷風の『濹東綺譚』の世界だったのだ。ウィキペディアで調べてみて、玉の井、鳩の街の旧赤線地帯から向島花街に向かうのが隅田川七福神巡りだったということを了解した。向島花街には見番通りという道路表示があり、向嶋墨堤組合という名の見番のホームページでは、芸妓衆120名以上の登録があるということで花街として健在だ。一方、玉の井、鳩の街についてはその名残は探せばあるのかもしれないが、そうと知らなければ何の特徴もないただの下町の住宅地となっている。

濹東綺譚を改めて読んでみると、かつての玉の井のおもむきは現在では百軒店の無料相談所にあるのかとふと感じる。円山町はかつて芸妓衆420名と、現在の向島花街をしのぐ時代もあったほどだ。神泉仲通りは見番通りとか三業通りとして知られていたのだが、現在では円山町の芸者さんは2人になっている。それでも花街の雰囲気は今でも向島に劣ることはない。
玉の井が栄えたのは関東大震災の1923年から東京大空襲で消失する1945年までの20年ばかりのようだ。永井荷風や滝田ゆうの『寺島町奇譚』などで描かれていることから、玉の井は文学のふるさとといえないこともないのだが、最近の百軒店はそんなことにはならないようなのが残念といえないこともない。

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